福岡県農業総合試験場研究報告19　（2000）　pp　29 - 31

水稲湛水直播栽培における過酸化石灰を被覆した籾の実用的な貯蔵方法

石丸知道^１）・福島裕助^２）・許斐健冶
（筑後分場）

［摘要］水稲の湛水直播栽培における過酸化石灰を被覆した籾の被覆作業と播種作業の競合を緩和させる目的で、乾籾重の２倍量の過酸化石灰を被覆した籾（以下、被覆籾とする）10�sを15℃、10℃および室温で貯蔵し、温度別に貯蔵可能日数を検討した。貯蔵温度が15℃の場合、７日間では被覆籾に亀裂が入る程度であった。その後、被覆籾の呼吸代謝が活発となり貯蔵した袋内の温度が高くなった。しかし、14日間では幼芽が確認され、機械播種作業に支障をきたす程度まで伸長した。これに対し、10℃の場合には、28日間貯蔵しても幼芽の伸長がみられなかった。15℃、10℃ともに28日間貯蔵の出芽率は１日間と比べ10％程度の低下であった。室温貯蔵では、すでに貯蔵３日後には幼芽伸長が確認された。以上のように、貯蔵可能期間は貯蔵中の被覆籾の幼芽伸長および出芽率からみて、貯蔵温度が15℃では７日、10℃では28日、室温では１日程度であった。また、既存の農業団体の低温倉庫（設定温度15℃）を利用すれば、被覆籾を７日間程度貯蔵することができることも明らかとなった。

［キーワード：過酸化石灰、呼吸代謝、湛水直播、貯蔵期間］

1)現築上地域農業改良普及センター、2)現農産研究所

全文(pdf　405KB)

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