イチジク果実に含まれる機能性成分としての食物繊維の特徴
- [要約] イチジク「蓬莱柿」及び「桝井ド−フィン」の果実は水溶性ペクチン質やセルロ−スなどの食物繊維成分に富み、水溶性ペクチン質はモモ「あかつき」、リンゴ「つがる」の
3倍前後含まれ、セルロ−スは「蓬莱柿」ではワセウンシュウ「山川早生」の10倍、ブドウ「巨峰」の20倍近く含まれる。
- 豊前分場・果樹研究室 [連絡先]09302-3-0163
- [部会名]生産環境 [専門]加工利用 [対象]果樹類 [分類]指導
[背景・ねらい]
- イチジクの果実にはタンパク質分解酵素が含まれ、食物繊維成分にも富むなどその機能性は高く評価されている。果実類に含まれる食物繊維はペクチン質やセルロ−スが主な成分であるが、水不溶性ペクチン質やセルロ−スなどの水不溶性食物繊維は便秘、大腸がん、胃潰瘍など消化器疾患との関連性が深く、一方水溶性ペクチン質など水溶性食物繊維は糖尿病、高血圧のような代謝性疾患の予防・治療に効果を示すなど、食物繊維の生体への影響は水不溶性か水溶性かによって異なることが報告されている。そこで、食物繊維を主な成分ごとに区分してイチジクと他の果実類との含量を比較し、イチジクの果実に含まれる食物繊維成分の特徴を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
@イチジク「蓬莱柿」及び「桝井ド−フィン」の果実は、モモ「あかつき」、リンゴ「つがる」、ブドウ「巨峰」、ニホンナシ「豊水」、ワセウンシュウ「山川早生」の果実に比べてペクチン質含量が多い。中でも水溶性ペクチン質が多く、「あかつき」、「つがる」の
3倍前後、「巨峰」、「豊水」、「山川早生」の6〜8倍以上含まれる(図1)。
Aイチジクの果実はセルロ−ス含量が多く、「蓬莱柿」では「つがる」の約2倍、「あかつき」、「豊水」の
3倍、「山川早生」の10倍、「巨峰」の20倍近く含まれる(図2)。
Bイチジクの果実のヘミセルロ−ス含量はセルロ−ス含量に比べて少なく、他の果実類の含量との差も小さい(図2)。
[成果の活用面・留意点]
@イチジクの果実の機能性を評価する際の参考資料として活用する。
[具体的デ−タ]
- [その他]
- 研究課題名:イチジクの品種及び栽培条件と機能性成分
- 予算区分:県特
- 研究期間:平成8年度(平成8〜12年)
- 研究担当者:矢羽田第二郎・野方仁
- 発表論文等:平成8年度豊前分場果樹試験成績書