[要約]
施設青ねぎ栽培の土づくり資材には稲わら堆肥、牛ふん堆肥が適する。牛ふん堆肥は、稲わら堆肥に比べて土壌の物理性改善効果が大きいが、土壌中の水溶性カリウム濃度を高める。稲わら堆肥では1年に1回10tまたは15t/10aまたは2年に1回30t/10a、牛ふん堆肥では10t/10a施用すると収量が増加する。
生産環境研究所・生物資源部・微生物利用研究室
[連絡先] 092−924−2970
園芸研究所・野菜花き部・野菜栽培研究室
[連絡先] 092−922−4111
[部会名] 生産環境
[専門] 土壌肥料
[対象] 茎葉菜類
[分類] 指導
[成果の内容・特徴]
@堆肥の施用による土壌物理性改善効果は、牛ふん堆肥≧バーク堆肥>稲わら堆肥の順である(表1)。
A稲わら堆肥、牛ふん堆肥を施用することにより土壌微生物バイオマス窒素量が増加し、増加の程度は牛ふん堆肥が稲わら堆肥に比べて大きい(表2)。
B牛ふん堆肥の施用は、稲わら堆肥の施用に比べ土壌中の水溶性カリウム濃度を高め、施用後4作目まで高い水準で推移する。牛ふん堆肥10t、15t、30t/10aの施用で水溶性カリウム濃度は、無施用区または施用前に比べて、それぞれ20〜50r、60〜100r、200r/100g程度高くなる(表3、一部データ省略)。
C稲わら堆肥では1年に1回10tまたは15t/10a施用するか、2年に1回30t/10a施用することにより収量が増加する(表4、表5)。
D牛ふん堆肥では1年に1回10t/10a施用することにより収量が増加するが、15t〜30t/10a施用すると初作目に収量が減少する(表4、表5)。
Eバーク堆肥では1年に1回10t/10a施用すると連用初年目に収量が低下する(表4)。
F葉先枯れの発生は、夏播き栽培で多く、冬播き栽培では少ない。また、堆肥の種類による発生の差は小さい(データ省略)。 [
[成果の活用面・留意点]
@福岡県野菜施肥基準に掲載し、施設青ねぎの安全生産技術の資料として活用する。
A堆肥は、完熟したものを使用する。
[具体的デ−タ]
表1 土壌の物理性(平成3年収穫後%)
注)@堆肥の施用は、平成3年12月10日
(10t/10a)
A土壌条件;中粗粒黄色土造成相
(SL/SL)
表2 土壌微生物バイオマス窒素の変化
(平成5年1作目μg/g乾土)
注)@堆肥の施用は、平成5年6月10日(連用初年目)
表3 水溶性カリウム濃度の変化(非根圏土壌mg/100g)
注)@堆肥の施用は、平成5年6月10日、平成6年6月15日
15t区は連用、30t区は平成5年のみ。
Aねぎの栽培は、各年とも2作(夏播き、冬播き)。
B堆肥の成分(対乾物) アンモニア態窒素 硝酸態窒素全窒素 水溶性カリ
稲わら堆肥;3.82mg/100g 116mg/100g 1.66% 384mg/100g
牛ふん堆肥;3.33mg/100g 261mg/100g 2.65% 3,906mg/100g
表4 堆肥の種類が青ねぎの収量に及ぼす影響
(平成3〜4年)
注)@堆肥の施用は、表1の注に同じ。
A苗立ち本数は、×1000本/10a。
B収量は、t/10a。
表5 堆肥の種類及び施用量が青ねぎの収量に及ぼす影響
(平成5〜6年)
注)@堆肥の施用は、表3の注に同じ。
A収量は、t/10a。
[その他]
研究課題名:ネギに対する有機物の分解特性と施用技術
予算 区分:県特
研究 期間:平成6年度(平成3〜6年)
研究担当者:庄篭徹也、山本幸彦、吉岡哲也、小野剛士、豆塚茂実
発表論文等:平成3〜6年度 園芸研究所野菜試験成績書 平成3〜6年度 生産環境研究所生物資源部試験成績概要書