ヒラナスの細胞選抜による青枯病抵抗性系統の作出 |
[要約]ヒラナスプロトプラストの細胞選抜再生系統は、青枯病の発病を遅延する抵抗性を示す。最も効果の高い青枯病菌の培養ろ液を選抜物質に用いた場合に得られる系統の自殖第一代の中から、罹病性品種(筑陽)を接ぎ木しても青枯病抵抗性を示す系統を作出した。 |
生産環境研究所・生物資源部・生物工学研究室 |
連絡先 |
092-924-2970 |
部会名
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生産環境
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専門
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バイテク
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対象
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果菜類
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分類
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研究
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[背景・ねらい]
本県のナスは、施設栽培が主力であり、土壌消毒剤や太陽熱消毒処理を組み合わせた土壌消毒によって、連作に伴う青枯病等の土壌病害の防除が実施されている。しかし、これら防除法は、効果が不安定であるばかりでなく、薬剤の環境に対する負荷が懸念され、生物的防除を取り入れた総合防除法の確立が求められている。すでに、青枯病菌抵抗性の品種を育成するために、ヒラナスのプロトプラストを青枯病菌の培養ろ液で細胞選抜する手法を確立した(平成7年度農業関係試験研究の成果)。そこで、これらの細胞選抜処理によって得られた再生系統当代やその自殖第一代の中から、青枯病抵抗性台木を育成する。
[成果の内容・特徴]
1.ヒラナスプロトプラストの細胞選抜により、再生当代において青枯の発病を遅延する抵抗性を示す系統が得られ、その抵抗性は青枯病菌の培養ろ液を選抜物質に用いた場合に最も高い( 図1)。
2.再生当代で抵抗性を示した系統の自殖第一代に罹病性品種(筑陽)を接ぎ木した苗においても青枯病抵抗性を示す系統を作出した( 図2、 表1)。
[成果の活用面・留意点]
1.自殖系統の抵抗性の差を利用した青枯病抵抗性DNAマーカー検索に活用できる。
2.青枯病抵抗性系統は、課題「ナスの青枯病に対する抵抗性台木と共生微生物の利用技術」の中で、実用化を図る。
[その他]
研究課題名:細胞選抜、細胞融合によるナス台木の病害抵抗性系統の作出
予算区分:経常
研究期間:平成11年度(平成7〜11年)
研究担当者:平島敬太、村上英子、中原隆夫
発表論文等:福岡県農業総合試験場研究報告 第19号
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