保冷温度とイチジク果実の食物繊維成分の変化
[要約] イチジク「蓬莱柿」の果実は、収穫後の保冷温度が15℃以上の場合はペクチン分解酵素の活性が急速に高まり、食物繊維成分の中で不溶性ペクチン質含量が減少するが、5℃以下では減少しにくい。
豊前分場・果樹研究室 [連絡先]0930-23-0163
[部会名]生産環境 [専門]加工利用 [対象]果樹類 [分類]研究
[背景・ねらい]
イチジクは日持ちが悪く、収穫後の品質変化が著しい果実である。イチジクの果実には機能性成分としてペクチン質やセルロースなどの食物繊維が多く含まれているが(平成8、9年度農業関係試験研究成果)、収穫後の保冷温度と品質、特に、これらの機能性成分の変化については明らかではない。そこで、イチジク「蓬莱柿」の収穫後における機能特性の変化を解明するため、保冷温度が食物繊維成分に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 イチジク「蓬莱柿」果実中のペクチン分解酵素であるポリガラクチュロナーゼ(PG)の活性は、保冷温度が20℃の場合は収穫3日後に、15℃の場合は収穫4日後に急速に高まる(表1、表2)。
2 イチジク果実中の不溶性ペクチン質含量は、収穫後の保冷温度が20℃の場合は収穫3日後に、15℃の場合は収穫4日後に減少するが、5℃以下では減少しにくい。水溶性ペクチン質含量は、保冷温度の影響を受けにくい(表1、表2)。
3 収穫後の保冷温度が、果実中のヘミセルロースおよびセルロース含量に及ぼす影響は小さい(表1、表2)。
[成果の活用面・留意点]
1 イチジク果実の機能性評価の参考資料として活用できる。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:イチジクの品種及び栽培条件と機能性成分
予算区分:県特
研究期間:平成10年度(平成8〜12年)
研究担当者:矢羽田第二郎、野方仁
発表論文等:平成8〜10年度豊前分場果樹試験成績書.