[要約]
市販されている 4種類の脱臭資材は資材中の主成分等の相違により、特定の悪臭成分を減少させる選択的脱臭能力を有する傾向が認められるが、官能評価を行った微生物資材A、植物質資材Bともに脱臭効果は認められない。
畜産研究所・中小家畜部・環境衛生研究室
[連絡先] 092-925-5231
[部会名] 畜産
[専 門] 環境保全
[対 象] 家畜家禽類
[分類] 指導
[背景・ねらい]
近年、数多くの脱臭資材が市販されているが、その効果については不明な物が多い。このため、市販脱臭資材30種類を用いたポット試験を行い、脱臭効果が期待でき、液体で噴霧可能な
4資材を用いて養豚施設における脱臭効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
@フミン酸を含む植物質資材Aを噴霧すると低級脂肪酸のプロピオン酸、ノルマル酪酸濃度が若干低下する傾向があるが、その他の臭気についてはほとんど差が認められない。
A硫化鉄を含む鉱物質資材Aは低級脂肪酸のプロピオン酸、ノルマル酪酸、イソ吉草酸、ノルマル吉草酸濃度が約50%低下する。
B有用微生物を含む微生物資材Aは低級脂肪酸濃度で約30%低下する。硫化物中の硫化水素濃度が低下するが、硫化メチル濃度は高くなる。
C緑茶抽出物を含む植物質資材Bはアンモニア、低級脂肪酸濃度において低下は認めらなない。硫化物中の二硫化メチル濃度は低下傾向にあるが、メチルメルカプタン濃度は高くなる。
D官能評価で判断する臭気強度では、微生物資材A及び植物質資材Bともに脱臭効果は認められない。
[成果の活用面・留意点]
脱臭資材を用いて悪臭防止を行う畜産農家に対する技術指導の参考として活用する。
[具体的データ]
表1 脱臭資材噴霧による養豚施設内臭気の変化 (平成5〜6年)
注)@単位:アンモニアppm、その他ppb
A臭気調査場所と噴霧方法
植物質資材A:豚台中央の入口側、中央部、奥側の3カ所測定。2〜3日に1
回噴霧し、噴霧直後に臭気測定。
微生物資材A:測定場所は植物質資材Aに同じ。週1回月曜日に噴霧し、火曜
と金曜に臭気測定。
鉱物質資材A及び植物質資材B:豚ふん乾燥舎の入口側、中央部、奥側の3力
所測定。攪拌機に付設した噴霧機で噴霧し、攪拌直後に臭気測定。
[その他]
研究課題名:脱臭資材利用による悪臭防止
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成4〜6年)
研究担当者:小山太、今村和彦、高椋久次郎
発表論文等:平成4〜6年度畜産関係試験成績書