トウフ粕に濃厚飼料を加えた混合サイレージの調製法と発酵品質

[要約]乳牛への給与設計に基づいて、トウフ粕、ビートパルプ、ヘイキューブ、加熱ダイズ、配合飼料を混合して調製したサイレージは、1週間程度貯蔵すると発酵品質が安定して利用可能となり、できたサイレージの発酵品質もよい。

畜産研究所・飼料部・飼料作物研究室 [連絡先]092-925-5231

[部会名]畜 産 [専門]動物栄養 [対象]家畜類 [分類]普及

[背景・ねらい]

トウフ粕は安価で栄養価の高い地域飼料資源であるが、家畜の飼料としての利用割合は低い。その一因として、トウフ粕が高水分であるため、夏場に変敗しやすいことがあげられる。これまでに当場では、トウフ粕に水分調整材や添加物を加えてサイレージ調製すると保存性が高まることを明らかにしてきた。しかし、これを乳牛に給与するには、飼料給与設計に基づいてもう一度混合する必要があり、労力やコストがかかる。
そこで、給与時の労力軽減と調製時の低コスト化を図るため、飼料給与設計に基づいてトウフ粕主体で混合したものを、添加物を使用せずにサイレージ調製する技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
@乳牛への給与設計をもとにして、トウフ粕、ビートパルプ、ヘイキューブ、加熱ダイズ、配合飼料、イタリアンライグラスサイレージを組み合わせて混合調製したサイレージは、どのサイレージにおいてもトウフ粕のみのサイレージに比べ、乾物回収率が高く、発酵によるロスが少ない(表1、表2)。
Aトウフ粕を主体にして粗飼料以外のものを混合したサイレージ( セミコンプリート区)は、添加物を使用しなくても、酪酸の生成がなく、VBN(揮発性塩基態窒素)/TN(全窒素)は低いため、 V-SCOREおよびフリーク評点のどちらを指標にした場合でも、発酵品質の評価は高い(表2)。
Bトウフ粕を主体にして粗飼料以外のものを混合したサイレージ( セミコンプリート区)は乳酸の生成量、pHの低下からみて、1週間程度貯蔵すれば発酵品質が安定し、利用可能となる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
@トウフ粕をサイレージ利用する際の参考資料とする。
Aサイレージ調製にはコンテナ、バッグサイロ、トランスバッグ等が利用できる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:トウフ粕の混合飼料化技術
予算区分:経 常
研究期間:平成8年度(平成7〜9年)
研究担当者:太田剛・馬場武志・井上信明
発表論文等:平成7、8年度畜産関係試験成績書