簡易作溝播種機を利用したスーダングラスの省力的栽培法
- [要約]水田転換畑においてスーダングラスを、簡易作溝播種機を利用して播種すると、作業時間は約30%短縮され、全面耕起散播した場合と同等の乾物収量が得られる。
- 畜産研究所・飼料部・飼料作物研究室 [連絡先]092-925-5231
- [部会名]畜 産 [専門]栽 培 [対象]牧草類 [分類]普
及
[背景・ねらい]
- 酪農経営では飼養規模の拡大に伴い自給飼料調製の労働過重や労力不足などの問題が顕在化しており、飼料栽培調製の省力化が緊急の課題として強く求められている。近年、省力的調製法であるロールベール−ベールラッパ作業体系が徐々に増加しつつあり、この作業体系に適した夏作飼料作物としてスーダングラスの栽培が増加している。水田転換畑にスーダングラスを導入するためには、排水対策を十分に行わなければならないが、栽培作業と同時に排水対策を行うためには多くの労力が必要である。これらの問題を解決するため、耕うん・播種・施肥・覆土・鎮圧・排水溝作りの複数作業を一行程で行う、簡易作溝播種機を利用したスーダングラスの低コスト・省力栽培技術について検討する。
[成果の内容・特徴]
@簡易作溝播種機は市販のロータリを改造し、ロータリ回転軸の4箇所にナタ爪を装着すると同時に、後部に麦用の施肥播種機を装着したものである。
A簡易作溝、施肥、播種、覆土、鎮圧の各作業を同時に行うことができるので、全面耕起散播に比べ約30%の作業時間の短縮が可能となる(表1)。
B簡易作溝播種の乾物収量は、全面耕起条播に比べ117%で、慣行法である全面耕起散播に比べても同等以上である(表2)。
C簡易作溝播種を行うと、両側溝は排水溝として機能する。
[成果の活用面・留意点]
@水田転換畑において、梅雨期前及び期中にスーダングラスを播種する際に活用できる。
A覆土量がやや少ないため、干害が懸念される夏期播種には適さない。
B収穫時まで排水溝が少し残るため、収穫作業は排水溝と平行方向に作業する。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名:低コスト飼料生産技術及びフリ−スト−ル牛群管理システム
- 予算区分:国庫(地域基幹)
- 研究期間:平成8年度(平成6〜10年)
- 研究担当者:馬場武志、太田剛、井上信明
- 発表論文等:平成8年度畜産関係試験成績書