[要約]
スーダングラスの伸長期から出穂期におけるラップサイレージの可消化粗蛋白質および可消化養分総量はそれぞれ9.1〜8.1%、53.4〜51.6%である。また、作成した栄養価推定式では、可消化粗蛋白質と可消化養分総量を精度良く推定することができる。
畜産研究所・飼料部・家畜栄養研究室
[連絡先] 092−925−5231
[部会名] 畜産
[専門] 動物栄養
[対象] 牧草類
[分類] 普及
[背景・ねらい]
近年、夏期の自給粗飼料として暖地型牧草の利用が増加し、秋冬作のイタリアンライグラスとの作付体系による通年的なラップサイレージ調製作業体系が定着してきているが、スーダングラスラップサイレージの栄養価に関する知見は少ない。
スーダングラスはラップサイレージ調製を前提とした場合、気密性を高めるため茎葉が硬くなる前に収穫する必要があることから、その刈取ステージは出穂期以前の刈取が主体となる。
そこで、これらのステージで調製したスーダングラスラップサイレージの飼料成分含量とその消化率を明らかにする。また、飼料成分含量から可消化粗蛋白質と可消化養分総量を推定することのできる回帰式を作成する。
[成果の内容・特徴]
@伸長期、穂ばらみ期および出穂期における可消化粗蛋白質は 9.1、8.1、8.3% である。 また、可消化養分総量はそれぞれ53.4、53.2、51.6%である(表1)。
A可消化粗蛋白質は粗蛋白質含量を変数とした一次回帰式(DCP=0.93CP-3.11 r=0.971)により精度良く求めることができる(表2の@式)。
B可消化養分総量は細胞内容物質、高消化性繊維および低消化性繊維または酸性デタージェント繊維を変数とする次の重回帰式により、精度良く求めることができる(表2のAB式)。 TDN
= 3.05(OCC+Oa) + 1.60 Ob - 136.89 R=0.975
TDN = 2.68(OCC+Oa) + 1.72ADF -
106.18 R=0.944
[成果の活用面・留意点]
@福岡県版「飼料成分表」に登載し活用する。
A技術マニュアル「九州・沖縄地域におけるラップサイレージ調製・貯蔵の手引き 」に掲載し活用する。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:ラップサイレージの栄養価評価法の確立
予算 区分:国庫(地域重要)
研究 期間:平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者:棟加登きみ子、梅田剛利、今村弘子
発表論文等:平成7年度畜産関係試験成績書九州・沖縄地域におけるラップサイレージ調製・貯蔵の手引 (1996)