[要約]
暑熱のきびしい夏期に貯蔵するラップサイレージのストレッチフィルムの色は白色のものが適している。また、貯蔵にあたりラップサイロの上部を遮光シートで被覆することにより、サイレージの品質が安定する。
畜産研究所・飼育部・家畜栄養研究室
[連絡先] 092−925−5231
[部会名] 畜産
[専門] 動物栄養
[対象] 牧草類
[分類] 普及
[背景・ねらい]
イタリアンライグラスは秋冬作の基幹的なラップサイレージ仕向草種であるが、その貯蔵期間は、年間で最も気温の高い夏期にかかるため、サイレージの発酵品質が不安定であり、又、飼料成分中の熱変性蛋白質の割合が高くなる。熱変性蛋白質の割合が高いものは消化率が低下することから、ラップサイレージ調製に使用するストレッチフィルムの色と品質の関係、および貯蔵中における遮光シートの効果について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
@暑熱のきびしい夏期に貯蔵するラップサイレージのストレッチフィルムの色については、黒色フィルムは白色フィルムより、熱変性蛋白質の割合(ADIN/TN
) が高く、特に直射日光の当たるサイレージ上層部が高い。
一方、発酵品質については、黒色フィルムの方が白色フィルムよりもVスコア 値は高いが評価基準は共に同じクラスの「良」である。
従って、夏期に貯蔵するラップサイレージのフィルムの色は熱変性蛋白質の割 合が低い白色フィルムが適している。(表1)
Aラップサイロの上部を遮光シートで被覆すると、被覆しない場合に比べ、サイ レージの発酵品質が良好で熱変性蛋白質の割合(ADIN/TN
)を低く抑え、廃棄率 も低くすることができる。(表2)
[成果の活用面・留意点]
@技術マニュアル「九州・沖縄地域におけるラップサイレージ調製・貯蔵の手引」に掲載し活用する。
A遮光シートで被覆するさいには、ラップサイロ間の間隔をある程度あけ、通風性をよくし、熱がシート内部にこもらないようにする。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:ラップサイレージの飼料品質改善技術の確立
予算 区分:国庫(地域重要)
研究 期間:平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者:今村弘子、棟加登きみ子、梅田剛利
発表論文等:平成7年度畜産関係試験成績書 九州農業研究 第57号 P132 九州農業研究 第58号 P144