[要約]
アカクローバサイレージは生育の進行に伴い、可消化養分総量は低下し、青刈大豆サイレージの可消化養分総量は、生育の進行に伴い伸長期から開花期には低下するが、着莢期以降は子実の充実に伴い増加する。また、ヘイキューブはものにより飼料成分含量にかなりの幅がある。
畜産研究所飼料部家畜栄養研究室
[連絡先] 092-925-5231
[部会名] 畜産
[専門] 動物栄養
[対象] 牧草類
[分類] 指導
[背景・ねらい]
マメ科飼料作物は蛋白質等の豊富な粗飼料として乳牛・肉牛にとって重要であるが、そのほとんどが購入飼料に依存している。そこで、本県で栽培可能なマメ科飼料作物のアカクローバと青刈大豆をサイレージ調製し、各生育ステージ毎の栄養価をメン羊による消化試験により明らかにする。また、輸入が増加しているヘイキューブについても、同様に栄養価を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
@アカクローバサイレージは生育の進行に伴い、可消化養分総量は減少する。一方、繊維成分の粗繊維、総繊維及び酸性デタージェント繊維含量は増加する。生育の進行に伴う可消化養分総量の減少は、粗蛋白質及び粗脂肪の減少と繊維成分の消化率の低下によるものである(表1)。
A青刈大豆サイレージの可消化養分総量は、生育の進行に伴い伸長期から開花期にかけては低下するが、着莢期以降は子実の充実に伴い増加する(表1)。
Bヘイキューブは、粗蛋白質含量は14.1%〜21.3%、可消化養分総量は53.2%〜60.1%と、ものによりかなりの幅がある(表2)。
[成果の活用面・留意点]
@日本標準飼料成分表及び福岡県飼料成分表改訂のデータとして活用する。
Aマメ科飼料作物は一般に可溶性糖含量が低く、乳酸が生成されてもpHが下がりにくいのでイネ科牧草よりサイレージ調製が難しい。したがって、アカクローバや青刈大豆をサイレージ調製して保存するには水分調整や糖類等の添加が必要である。
Bヘイキューブの飼料成分含量にはものによりかなりの幅があるので、より正確な給与設計を行うためには、当場のフォーレージテスト(粗飼料分析診断)を受け成分分析を行うと良い。
[具体的データ]
表1 マメ科自給飼料作物の飼料成分含量と消化率(乾物中%) (平成3〜6年)
注)DM=乾物 CP=粗蛋白質 EE=粗脂肪 NFE=可溶無窒素物 CF=粗繊維
OM=有機物 OCW=総繊維 ADF=酸性デタージエント繊維 TDN=可消化
養分総量A分析点数アカクローバ:8点 青刈大豆:9点
表2 ヘイキューブの飼料成分含量と消化率(乾物中%) (平成3〜6年)
注)@DM=乾物 CP=粗蛋白質 EE=粗脂肪 NFE=可溶無窒素物
CF=粗繊維 OM=有機物 OCW=総繊維 ADF=酸性デタージエント
繊維 TDN=可消化養分総量 TDN下段の()内は標準偏差
[その他]
研究課題名:豆科飼料作物の栄養特性と栄養価評価
予算区分 :経常
研究期間 :平成6年度(平成3〜6年)
研究担当者:棟加登きみ子、梅田剛利
発表論文等:平成6年度畜産関係試験成績書