ロールベールサイレージ調製に適した牧草類の高栄養収量生産体系

[要約]イタリアンライグラス2回刈+スーダングラス3回刈体系及びイタリアンライグラスと大麦混播により冬期収穫を含め秋冬作3回刈+スーダングラス2回刈体系は、イタリアンライグラス1回刈+スーダングラス3回刈体系より年間総TDN収量が多い。 

畜産研究所・飼料部・飼料作物研究室

 連絡先

 092-925-5229

部会名
 

 畜  産
 

専門
 

 栽 培
 

対 象
 

 飼料作物
 

分 類
 

 指 導
 










 
[背景・ねらい]
 大家畜農家における飼養頭数増加と家畜の高能力化に伴い、飼料作物生産調製の省力化と高品質化が求められている。このような中で、省力的飼料調製貯蔵技術としてロールベーラ・ベールラッパ作業体系が普及してきているが、ロールベーラ・ベールラッパ作業体系に適合する高TDN収量作付け体系は明らかにされていない。
 そこで、ロールベールサイレージ調製を目的として、乾物収量が比較的多い栽培体系であるイタリアンライグラスの出穂前期収穫とスーダングラスの草丈170cm前後の収穫における作付体系において、年間総TDN収量が最も高くなる作付体系を明らかにする。
                                 (要望機関名:畜産課(H9))
 
[成果の内容・特徴]
1.イタリアンライグラス2回刈+スーダングラス3回刈体系(B体系)、またはイタリアンライグラスと大麦混播の3回刈+スーダングラス2回刈体系(C体系)は、イタリアンライグラス1回刈+スーダングラス3回刈体系(A体系)より年間総TDN収量が有意に多い(図1表1)。
 
2.C体系は、1番草としてイタリアンライグラスと大麦混播作物を12月に収穫、その後、4月、5月に再生イタリアンライグラスを収穫する体系であり、TDN含量、年間の総TDN収量も高いが、乾燥速度の遅い冬期収穫が必要である(表1)。
 
3.イタリアンライグラス1回刈+スーダングラス3回刈体系(A体系)は、3体系の中で乾物収量、TDN収量とも低くなる(表1)。
 
[成果の活用面・留意点]
1.ロールベーラ・ベールラッパ作業体系作付け計画作成等の参考となる。
 
2.刈り遅れるとTDN含量が低下するので、イタリアンライグラスは出穂期、スーダングラスは出穂前に刈り取る。
 
3.スーダングラスの初期生育時期は、湿害を受けやすいので、梅雨前に播種する。
 
[その他]
 研究課題名:ラップサイレージ体系に適合した飼料作物の高栄養収量作付体系の確立
 予算区分:経常
 研究期間:平成11年度(平成9〜11年)
 研究担当者:馬場武志、敷田成太郎、井上信明
 発表論文等:平成11年度畜産関係試験成績書