イネ科・マメ科牧草中硝酸態窒素含量の簡易測定

[要約]
 イタリアンライグラス、スーダングラス、ギニアグラス及び、アルファルファ等の牧草中硝酸態窒素含量は、小型反射式光度計で測定し、測定値を硝酸態窒素に換算後、Y=0.901x+0.011の回帰式により公定法での測定値が推定できる。

畜産研究所・飼料部・家畜栄養研究室 [連絡先]092−925−5231
[部会名]畜産 [専門]栄養 [対象]牧草類 [分類]普及
 
[背景・ねらい]
 家畜の硝酸塩中毒を回避するため、現場で迅速、簡易に測定できる硝酸態窒素の測定法が求められている。生産現場において生草やサイレージ中に合まれる硝酸態窒素を測定できれば、その後の調製や給与を的確に行うことが出来る。このため、省力大量調製できるロールベール仕向主要草種として、これまでにスーダングラスについて、平成9年成果で小型反射式光度計での測定方法をとりまとめてきた。今回、スーダングラスにイタリアンライグラス、ギニアグラス及びアルファルファ等の牧草を加え、小型反射式光度計を用いた硝酸態窒素含量の測定技術を確立する。(要望機関名:朝倉、久留米普(H8))
 
[成果の内容・特徴]
1 小型反射式光度計を用いた牧草中硝酸態窒素の測定は、試料1gに蒸留水50mlを加え20分間振とう機で振とう後、ろ過した抽出液に試験紙をつけ、1分経過した後に測定を行う(図1)。
2 サンブルの乾燥は、試料50gを平皿に入れ、電子レンジ(500Wの出力を強で5−6分乾燥し、その後試料を反転し、きらに5〜6分乾燥させることで代用できる。粉砕は、市販のコーヒーミルで代用できる(図1)。
3 イタリアンライグラス、スーダングラス及びギニアグラスの生草、サイレージ並びにアルファルファ乾草について、公定法と小型反射式光度計による硝酸態窒素含量の測定値の相関は、全草種共通の相関係数r=0.983が得られた(表1、図2)。
4 高速液体クロマトグラフを用いた公定法による測定値は、小型反射式光度計での測定値を硝酸態窒素に換算後、Y=0,901X+0,011の回帰式により推定できる(図2)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 小型反射式光度計で表示される値は硝談イオンで表示されるため、硝酸態窒素値に換算する。
 硝酸態窒素(%)=(表示値×0.2257)×希釈量(50ml)÷試料重(1g)÷10000
2 サンブルを電子レンジで乾燥する際は、乾燥粉砕サンプルを多めに調製(約50g)し、測定値が偏らないようにサンプリングを考慮する必要がある。
3 電子レンジによる乾燥処理は、試料の状態により発火することがあるので、観察しながら処理する必要がある。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究明題名:硝酸態窒素含量の迅速簡易測定法
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
研究担当者:藤古弘子、梅田剛利、棟加登きみ子、大石登志雄、井上信明
発表論文等:平成10年畜産関係試験成績書