飼料作物の省力散播播種機の開発
[要約]
飼料作物栽培における播種作業の省力化を推進するため、耕うんと同時に牧草種子を播種する省力散播播種機を開発した。この省力散播播種機を利用することで、播種作業時間の短縮と播種精度の向上を図ることが可能である。
畜産研究所・飼料部・飼料作物研究室 [連絡先]092-925-5231
[部会名]畜産 [専門]機械 [対象]牧草類 [分類]指導
[背景・ねらい]
酪農経営では、飼養規模の拡大に伴い自給飼料調製の労力不足や労働荷重などの問題が顕在化しており、粗飼料の栽培・収税作業の省力化が緊急な課題として強く求められている。収穫作業は、ラップサイレージ調製体系や大規模バンカーサイレージ調製により作業効率化が図られてきているが、播種作業の省力化はほとんど進展していない。そこで、播種作業の省力化を図るため、ロータリの上部に取付けて耕うんと同時に牧草種子を散播する省力播種機を開発し、播種作業での実用性を検討する。(要望機関名:八女普(H7)畜産課(H10))
〔成果の内答・特徴]
1 水田用農薬散布機(K社製品)を改造し、牧草種子をロータリ幅(1.5m)に約一に播種できる省力散播播種機をK社と共同で開発した{図1,2)。
2 省力散播播種機本依の大きさは幅120p、奥行18p、高き40pの小型で、動力はトラクタのバッテリーから取っているため、ロータリの上部に取り付けるだけで耕うん作業を行いながら同時に播種作業が出来る。
3 手播きでの耕うん播種作業時間を100とした場合、省力播種機では71となり、手播き播種に比べ作業時間短縮が可能である(表1)。
4 省力散播播種機の播種精度は高く、手播き播種や散粒機播種に比べ均一な播種が可能であった。乾物収量は手播き播種や散粒機播種と同等以上である(表1,2)。
5 省力散播播種機は、目皿を交換することにより、小粒牧草種子だけでなく中粒程度のスーダングラスまで播種可能である。
[成果の活用面・留意点]
1 飼料作物の種子散播播種作業により、播種精度の向上と省力化を図ることが出来る。2 尾輪のないロータリでは取り付けられない場合がある。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:低コスト飼料生産技術及びフリーストール牛群管理システム
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:平成10年度(平成6〜10年)
研究担当者:馬場武志、敷田成太郎、井上信明
発表論文等:平成10年度畜産関係試験成績書