乳用牛群検定成績を用いた福岡県における五次回帰泌乳曲線

[要約]福岡県の乳用牛群検定成績を用いて、分娩後の日乳量、乳脂率及び乳蛋白率の実測値とほぼ一致する推定精度を持つ五次回帰泌乳曲線を作成した。本県の標準的な泌乳曲線の泌乳ピ−ク到達日は分娩後53日、泌乳ピ−ク乳量は30.4kg、305日乳量は7,653kgである。

畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室 [ 連絡先] 092-925-5231
[部会名]畜 産 [専 門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]指導

[背景・ねらい]

乳牛において1乳期の乳量の推移を示す泌乳曲線は、牛群能力の評価、出荷乳量予測による飼養管理改善等の指標として活用できるが、これまで本県においては県全体の泌乳成績を基礎デ−タとした泌乳曲線は作成されていない。そこで、乳用牛群検定成績を用いて、西南暖地に位置する本県の地域性に適した標準的な泌乳曲線を作成することにより、1乳期の泌乳パタ−ンを明らかにし、飼養管理指導の資料とする。

[成果の内容・特徴]
@本県で平成5〜6年に乳用牛群検定を実施した乳牛2,993頭の検定成績を用いて、泌乳曲線モデルとしての多次回帰式及び指数関数式(Woodの実験式)の推定精度を検討した。その結果、分娩後の日乳量、乳脂率及び乳蛋白率について、四次式以上の多次回帰式は、指数関数式(Woodの実験式)に比較して寄与率が高く、特に、五次回帰式は実測値とほぼ一致する推定精度を持ち、本県乳牛の泌乳特性に良く適合する(表1、図1、図2、図3)。

A五次回帰式による本県の標準的な泌乳曲線は、分娩後の泌乳ピ−ク到達日53日、泌乳ピ−ク乳量30.4kg、305日乳量7,653kgである(図1)。

B乳脂率は分娩後65日に最低の3.42%となり、分娩後45〜94日の間では3.5%を下回る。乳蛋白率は分娩後54日に最低の2.85%となる(図2、図3)。

[成果の活用面と留意点]
@分娩後の乳量及び乳成分の推移に関する標準的な指標として用いることにより、牛群能力の評価や適正な牛群構成等についての指導資料として活用する。

A農家の牛群能力の判断資料として用いる場合には、個体ごとの分娩後日数を日乳量の推定式に代入し、その日乳量の合計と1日バルク乳量を比較する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:最適モデルによる泌乳曲線の作成
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成7〜8年)
研究担当者:古賀康弘、山下克之、柿原孝彦、小島雄次、上田允祥
研究論文等:平成8年度畜産関係試験成績書