福岡県の乳用牛群検定成績を用いた305日乳量の簡易推定

[要約]福岡県の乳用牛群検定成績を用いて305日乳量の推定モデル式を作成した。この
モデル式により簡易推定する場合、3回分のデ−タ(3・4・5回次)使用での標準誤差は
±500kg程度、2回分(3・5回次)では±520kg程度である。

畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室 [連絡先] 092-925-5231
[部会名]畜 産 [専 門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]普及

[背景・ねらい]

乳牛の産乳能力は一般に1乳期における305日の累計乳量で表され、乳用牛群検定においては毎月の検定成績から計算されているが、分娩後の早い時期に個体の305日乳量が推定できれば、牛群の計画的な繁殖計画の指標として活用できる。このようなことから、本県で平成5〜6年に牛群検定を実施した乳牛の中から、305日検定成績を有し、かつ、産次ごとの頭数及び各検定回次毎の分娩後日数を揃えた624頭のデ−タを用いて、305日乳量を簡易推定する。

[成果の内容・特徴]
@305日乳量を推定するモデル式は、次のとおりとした。305日乳量推定は、モデル式に当てはめる検定回次のデ−タ数(日乳量)が多いほど推定精度が高まる(表1、表2、表3)。

305日乳量=a+b1×1回次乳量+b2×2回次乳量+・・・・・+b10×10回次乳量+e
但し、aはモデル式の定数、b1、b2・・・・・b10は回次別の係数、eは誤差。

A分娩後毎月の日乳量(検定成績)と305日乳量との相関係数は、5回検定次(分娩後132日目)をピ−クとした正規分布となり、この時期の日乳量は305日乳量との関係が大きい(表1、表2)。

B305日乳量を簡易推定する場合、3回分のデ−タ(3・4・5回次)使用での標準誤差は、±500kg程度、2回分(3・5回次)では±520kg程度である(表3)。

[成果の活用面と留意点]
@酪農家における牛群の繁殖計画の策定や選抜淘汰に当たっての参考として活用できる。

A乳牛の選抜淘汰に活用する場合には、牛群検定改良情報の推定遺伝能力と合わせた評価が必要である。

B305日乳量を簡易推定する場合、乳量は日変動が大きいため、2〜3日間の平均乳量を用いる。

C標準誤差の1.96倍の範囲が推定値の95%信頼区間、2.58倍の範囲が99%信頼区間である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:最適モデルによる泌乳曲線の作成
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成7〜8年)
研究担当者:古賀康弘、山下克之、柿原孝彦、小島雄次、上田允祥
研究論文等:平成8年度畜産関係試験成績書