乳用種去勢牛における乾燥ビール粕混合飼料の給与期間


[要約]
 乳用種去勢牛の乾燥ビール粕混合飼料の給与期間は、7〜14ヶ月齢の肥育前期・中期まで可能であり、10%混合給与により、15〜21ヶ月齢の肥育後期の増体量や乾物摂取量の低下が少なく、肉質等級「3等級」の出現率も高い。

畜産研究所・大家畜部・肉用牛研究室
        飼料部・家畜栄養研究室
[連絡先] 092−925−5231
[部会名] 畜産
[専門]   飼育管理
[対象]   家畜類
[分類]   指導


[背景・ねらい]
 乳用種去勢牛による牛肉生産では、牛肉輸入自由化への対応として良質肉安定生産技術の確立が急がれており、県産銘柄牛肉「福岡牛」の表示についても枝肉格付「B3」規格以上の高い品質基準が設定されている。このため、これまで、主に飼料給与技術の面から検討を行い、肥育前期での給与飼料の低エネルギー化、粗飼料の活用技術、仕上げ月齢を明らかにした。今回は、地域飼料資源の活用技術のひとつとして、乾燥したビール粕を用いた場合の良質肉低コスト安定生産に適した給与期間を検討する。

[成果の内容・特徴]
@ビール粕を中期まで給与した飼養成績は、肥育後期まで給与した場合に比べ て、肥育後期の増体量、乾物摂取量及びTDN摂取量が多く、全期間を通しての発育及び飼料効率が良く、枝肉成績も優れる(表1、2)。

Aビール粕の肥育中期までの給与は、肥育前期給与に比べて、脂肪交雑、肉質等級3等級の出現率に遜色ない。また、その際のルーメン絨毛は、前期のみ給与した場合に比べて塊が少なく、L値(明度)は低い傾向にある(表2)。

Bこのため、ビール粕の給与期間は、肥育後期における飼料効率や肉質への影響が少ない肥育中期まで可能である。

[成果の活用面・留意点]
@県産銘柄牛肉「福岡牛」の産地育成に活用する。

A肥育期の移行に伴う給与飼料の切り替えの際には 4週間程度かけて馴致を行う。


[具体的データ]






[その他]
研究課題名:ビール粕を活用した混合飼料の給与技術
予算 区分:経常
研究 期間:平成7年度(平成6〜7年)
研究担当者:平嶋善典、中島啓介、後藤 治、徳満 茂
発表論文等:平成7年度畜産関係試験成績書