大規模肉牛群飼育施設における飼育管理作業の省力化


[要約]
 大規模肉牛農家では調理・給餌作業やふん尿処理作業等を機械化することにより、収容密度を高くし、1頭当たりの年間管理時間を従来の約1/3程度に短縮することが可能である。

畜産研究所・大家畜部・肉用牛研究室
[連絡先]   092-925-5231
[部会名]   畜産
[専門]    飼育管理
[対象]    肉用牛
[分類]    指導


[背景・ねらい]
  輸入自由化に対応し、生産コスト低減を図るため、飼養規模の拡大が急速に進んでいる。しかし、肉牛の飼料給与方法や管理方法は各農家で異なっており、規模拡大を希望する農家では、群管理に適した合理的給餌方法や施設構造の検討を始めている。 そこで、県内の近代的な大規模群飼育方式と、従来の中規模の改良型群飼育方式を比較し、今後の肉牛の大規模群飼管理に役立てる。
[成果の内容と特徴]
@1人当たり飼養頭数は大規模経営のA方式では約375頭と多いが、細断済の流通粗飼の活用やによる調理・給餌作業の省力化等を図ることによって、1頭当たりの年間管理時間を中規模経営のB方式に比べて約1/3程度にすることができる(表1、2)。

AA方式の牛舎は、等の作業性を良くするために通路幅は5.4mと広い。また、1頭当たりの餌槽幅が狭く、収容密度はB方式に比べて1.5倍と高いことから、給餌回数を増して競合に弱い牛の採食不足を補っている。(表1、2)。

BA方式は勤務時間を8:30〜17:00とするために、複数の管理作業を同時に行える効率的な施設設計と分担作業システムを取り入れている。(表3)。

[成果の取扱と留意点] 
大型牛舎設置の参考資料とする。


[具体的データ]   

         表1 作業時間及び管理方式       (平成6年)


 注)@1頭当たりの年間管理時間は肥育牛1頭当たりの年間飼養管理労働時間、年間経営
   管理労働時間、年間飼料生産労働時間を含む。  A圃場面積は、飼料作物生産用2
   ha、稲ワラ集荷用16haの合計。


           表2 主要な管理機械    (平成6年)

 注)カッターは粗飼料の細断、混合機は濃厚飼料原料の混合、オートフィーダーは
   自走式コンプーリトフィダーで、粗飼料と濃厚飼料の秤量・混合・給餌に使用。 


           表3 1日の主な作業時間帯

 注)◎は調理、給餌。○は主に給水器管理、掃除等の一般管理。△△△は主にぶん尿処理、
   牛の移動等を含めた管理。


[その他]
研究課題名:群飼育施設における肉用牛の飼養管理法
予算 区分 :経常
研究 期間 :平成6年度(平成6年)
研究担当者:徳満 茂、中島啓介、後藤 治
研究論文等:平成6年度畜産関係試験成績書