搾乳牛における分娩後の血液成分による栄養診断

[要約]
 分娩後9〜11週の乳牛の栄養状態(TDN充足が90%以上、未満の区分)は血液成分の内、FFA、GOTの分析値を用いた次の判別関数式により的中率80.8%で判定できる。判別関数式:Z=12.95×FFA+0.11×GOT-9.03(TDN充足率90%以上:Z<0,90%未満:Z>0) 

畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室  [連絡先]092-925-5232
[部会名]畜 産  [専 門]飼育管理  [対 象]家畜類  [分 類]指 導
 
[背景・ねらい]
 乳牛の泌乳初期から最盛期にかけては、体重維持と泌乳に必要なエネルギーが不足する。このようなエネルギーバランスがマイナスの状態が長くなると、繁殖性やその後の泌乳性に悪影響を及ぼす。乳牛の栄養充足の状態は、乳量、乳成分からある程度は推測できるが、給与飼料の適否や乳牛の栄養状態、健康状態を的確に把握する事は難しく、その診断技術が求められている。
 そこで当場のフリーストール牛群を用いて分娩後の経過週毎の血液成分の動きとTDN充足率の関係について明らかにし、血液成分による簡易な栄養診断技術を確立する。   (要望機関名:両筑家畜保健衛生所(H6))
 
[成果の内容・特徴]
 
1 分娩後5〜7週、9〜11週の血液成分の内でTDN充足率とFFA、T-cho、GOTを説明変数として、TDN充足率90%を境界とした判別関数式を作成した。9〜11週の判別関数式を用いれば、的中率77〜80%でTDN充足率が判定できる(表1)。
 
2 T-choは、分娩後一旦低値を示すが、TDN充足率が向上するに伴って高くなる(表2)。
 
3 Gluが60mg/dl未満、FFAが0.3mEq/l以上であればTDN充足率が90%未満になっていることが疑われる(表3)。
 
[成果の活用面・留意点]
 
1 乳牛の栄養診断に関する参考資料として活用できる。
 
[具体的データ]
 
[その他]
  研究課題名:低コスト飼料生産技術及びフリーストール牛群管理システム
  予算区分:国庫(地域基幹)
  研究期間:平成10年度(平成9〜10年)
  研究担当者:原田美奈子、磯崎良寛、柿原孝彦、古賀康弘
  発表論文等:平成10年度畜産関係試験成績書