ビール粕を給与した乳用種去勢牛の血液・第1胃内溶液性状による枝肉成績の判定

[要約]
 乳用種去勢牛肥育において飼料摂取量、枝肉成績と高い相関にあるのは、血中尿素窒素および第1胃内溶液中のアンモニア態窒素、酢酸/プロピオン酸比である。ビール粕給与により飼料中の総繊維含量が高くなり、酢酸/プロピオン酸比は高く推移し枝肉格付けは良好となる。

畜産研究所・大家畜部・肉用牛研究室飼料部・家畜栄簑研究室 [連絡先]092-925-5231
[部会名]畜産 [専門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]研究
 
[背景・ねらい]
 肥育牛の肥育期間短縮化や効率的飼料給与技術を確立するためには、肥育期毎の体構成変化、摂取養分の利用状況を詳細に把握しなければならない。現在、分析技術の高度化、迅速化に伴い、肥育牛の血液及び胃内溶液性状等について生体で情報を知ることが可能となりつつある。そこで、ビ一ル粕混合飼料を給与した乳用種去勢牛を用い、血液・第1胃内溶液性状と飼料摂取量・枝肉成績との関連性および飼料構成の影響を明らかにし、肥育の途中で、事前に肥育成績を判断する基準に利用する。(要望機関名:朝倉普及H6))
 
[成果の内容・特徴]
1 飼料摂取量、枝肉成績と相関が高いのは、血液および第1胃内溶液性状のうち、尿素窒素、血糖、ビタミンA、インスリン、アンモニア態窒素、酢酸/プロピオン酸比(A/P比)である(表1)。
2 肥育前中期にビール粕混合飼料を給与すると、摂取飼料中の蛋白含量が増加し、尿素窒素は高い値で推移する。また、飼料中の総繊維(NDF)含量が高くなるため、第1胃の消化性が増し、A/P比は高い値で推移し、枝肉成績は向上する(表2)。
3 血液と第1胃内溶液性状の相関をみると、ビール粕を給与した牛群では尿素窒素とアンモニア態窒素およびA/P比等との相関が高いが、無給与の牛群では低下する。このため、正確な枝肉成績の判定には複数項目についての検討が必要である(表3)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 乳用種去勢牛肥育試験における肥育状況推定および判定のための基礎データとして活用できる。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:乳用種肥育牛による良質肉安定生産のための混合飼料給与技術
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成10年度(平成9〜10年)
研究担当者:古賀鉄也、平嶋善典、徳満茂、棟加登きみ子、藤吉弘子
発表論文等:平成10年度畜産関係試験成績書