フリーストール・ルーズバーン方式酪農における所得目標に応した経営条件


[要約]

 フリーストール・ルーズバーン方式酪農経営において、乳価が90円/kgの場合の年間所得に関するシミュレーション分析を行った結果、経産牛規模が100頭の経嘗で年間10,000千円以上の所得を得るためには、経産牛1頭当たりの年間産乳量は8,700kg以上、飼料費は1,129円以下、生乳生産原価は80.7円/kg以下とする必要がある。


畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室 [連絡先]092−925−5232

[部会名]畜産 [専門]経営 [対象]家畜類 [分類]指導

 

[背景・ねらい]

 酪農経営において、飼養規模の拡大に対応しやすいフリーストール・ルーズバ一ン方式の導入が増加している。しかし、加工原料取引に市場原理が導入予定であるなど、今後乳価はさらに厳しい状況あること等から、施設整備に多大な投資を必要とするフリーストール・ルーズバーン方式酪農経営においては、経営計画を十分に検討する必要がある。

 そこで、昨年開発した酪農経営試算システムを用いたシミュレーション分析により、年間所得目標に応じた飼養規模、年間産乳量及び飼料費等の経営条件を明らかにする。(要望機関名:畜産課、北九州普(H3))。

 

[成果の内容・特徴]

1 経産度牛100頭規模の経営において、年間10,000千円以上の所得を得るためには、経産牛1頭当たりの年間産乳量は8,700kg以上とする必要がある。この場合の飼料費は1,129円以下とし、生乳生産原価80.7円/s以下とする(図1、表1)。・

2 また、年間15,000千円以上の所得を得るには、経産牛1頭当たりの年間産乳量は9,500kg以上、飼料費は1,184円以下、生乳生産原価は76.0円/kg以下とする(図1、表1)。

 

[成果の活用面・留意点]

1 フリーストール・ルーズバーン方式の導入および経営改善の資料として活用することができる。

2 酪農経営試算システムの概要は平成9年度福岡県農業関係試験研究のNo.2に掲載3 このシミュレーション分析の値は、次の設定条件に基づく試算であることに留意する。@施設・機械の整備は新規導入、Aミルキングパーラーはヘリンボーン方式、パーラー規模は搾乳時間が約2時間となるように飼養規模によって増減、B自給飼料作付延べ面積10ha、C稲ワラ収集面積5ha、D更新牛は全頭自家育成、E労働費単価は1,400円/時間(県畜産会基準)。

4 年間延べ労働時間および労働費、家族労働および雇用労働を含む。

 

[具体的データ]

 

[その他]

研究課題名:大規模高能率酪農技術の実証試験

予算区分:国庫(地域基幹)

研究期間:平成10年度(平成9〜10年)

研究担当者:古賀康弘、磯崎良寛、柿原孝彦、原田美奈子

発表論文等:平成10年度畜産関係試験成績書