自動哺乳・給餌装置を用いた子牛の省力的哺育管理
[要約]
子牛の哺育に自動哺乳・給餌装置を用いることで、哺育管理作集時間の大半を占める飼料給餌作業時間を短縮できる。また、飼料摂取状況、発育状況とも通常生産現場で行われている哺育法と同様に良好である。
畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室 [連絡先]092−925−5232
[部会名]畜産 [専門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]研究
[背景・ねらい]
酪農家の日常の作業の中で子牛の哺乳及び給餌は、搾乳とともに酪農家にとって多くの労動時間を要すること等から、特に大規模酪農経営においては自家育成率が低く、経産牛の更新を導入に頼る傾向がある。そこで。自動哺乳・給餌装置を用いた哺育管理労働時間の低減効果について検討するとともに子牛の飼料摂取状況及び発育状況を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 通常生産現場で行われている子牛の哺乳管理では、総労働時間の内、給餌に係る作業時間が大半を占めているが、自動哺乳・給餌装置を利用することにより大幅に短縮できる(表1)。
2 全乳及び代用乳の摂取率は、両給餌方法ともほぼ100%であり、人工乳の摂取率も給与量の約80%を摂取し、試験終了の35日齢時には充分離乳可能な摂取量(0.7kg/日)に達する(表2)。
3 乾草摂取量は、群飼である自動給餌法の同居子牛間において乾草摂取時に他の子牛に追従する行動が見られ、手動給餌法と比較して有意に多い(表2)。
4 両給餌方法による子牛の発育状況は、体重、体高、胸囲に差はなく、雌子牛に関してはホルスタイン種雌牛の標準発育の範囲内であり、順調な発育を示す(表3)。
5 両給餌方法とも、子牛に下痢等の発生はなく、健康状態は良好で血液成分値でも栄養の不足、異常値は認められない(表4)。
[成呆の活用面・留意点]
1 子牛の省力的哺育方法として自動哺乳・給餌装置導入時の参考資料として活用できる。
2 自動哺乳・給餌装置は1セットで子牛25〜30頭を飼養できるが、群飼養条件下での競合等の発生やその防止対策については今後検討を必要とする。
3 子牛を導入して哺育する場合は、伝染性疾病発生予防の為、導入時にカーフハッチ等で別飼いし、子牛の健康状態を観察するとともに、病気の有無を確認し、哺育を開始する。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:フリーストール牛舎の省力的作業システム
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:平成10年度(平成9〜10年)
研究担当者:原田美奈子、磯崎良寛、柿原孝彦、古賀康弘
発表論文等:平成10年度畜産関係試験成績書