キクの全自動移植機利用に適するセルの大きさ、育苗期間および用土

[要約]キクの開孔器型全自動移植機利用においては、トレイのセル数が200(1セル容量約的15m1)を使用し、育苗期間は17〜20日とする。用土の配合割合はピートモス:バ一ミキュライト=2:1にすると植付精度が優れ、定植後の生育も良い。


園芸研究所・野菜花き部・施設機械研究室 [連絡先]092−922−4111
[部会名]園芸 [専門]作業 [対象]花き類 [分類]普及


[背景・ねらい]

キクの定植作業に利用できる移植機としては、現行の栽植様式(栽植本数的42,000本/10a)に近い植付が可能な全自動移植機M式と人力けん引式移植機N式が挙げられる。しかし、これらの移植機で定植した場合には植付精度や生育の揃いが劣ることがあり、移植機の普及に当たってはその問題解決が必要であった。そこで、今後普及が見込まれる移植部の横スライドが可能な開孔器型全自動移植機利用における、キクの機械移植技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

1 開孔器型全自動移植機利用におけるセルの大きさは、トレイのセル数が200(1セル容量的15ml)が良い。セル数128(約27ml)では転び苗や機械的欠株が多く発生する(表1)。
2 機械移植に適応できる育苗期間は、17〜20日程度が良い(表2)。
3 セル数200のトレイで20日間育苗を行った苗では、容積比でピートモス:バーミキュライト=2:1とすると根鉢が崩れにくいため植付精度が優れ、定植後の生育も良い(表3、一部データ略)。
4 セル数200のトレイでの21日苗を利用した場合には、慣行の苗を使った場合とほぼ同等の切り花品質が得られる(表4)。

〔成果の活用面・留意点]

1 開孔器型全自動移植機利用における夏秋ギク「精雲」の育苗の技術資料として活用する。
2 セル成型トレイ育苗においては苗が老化しやすいので、挿し芽翌日から5日程度の間隔で液肥(OKF−1、1,000倍)を施用し、育苗期間を厳守する。
3 トレイヘの挿し芽は、穂を展開葉1.5枚、穂長5p程度に調製して、穂の基部1.5cm程度を挿す。
4 移植直前にトレイヘの湛水を十分行うことは、根鉢の部分を重くして植付精度を向上させるために必要である。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名:高温期における高品質切り花キクの生産技術開発
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:森山友幸、真鍋尚義、姫野修一、井手治
発表論文等:平成8,9年度園芸研究所野菜花き部施設機械研究室成績概要