キク「秀芳の力」の高温期における育苗時の用土および遮光方法
[要約]キク「秀芳の力」を高温期にさし芽し、ミスト育苗する場合の用土にはボラが適し、遮光方法はさし芽期間中を通して遮光率23%の白寒冷紗で被覆するか、さし芽後3〜6日間を遮光率45%の黒寒冷紗で被覆することにより、根量の多い苗が確保できる。
園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092−922−4111
[部会名]園芸 [専門]栽培 [対象]花き類 [分類]指導
[背景・ねらい]
- 電照ギク「秀芳の力」の10〜12月出し栽培では、育苗が夏季高温期であることから、発根不良や苗の腐敗等の問題を生じている。慣行の育苗では、用土として主にパーライトが用いられ、さし芽期間中を通して遮光率50%以上の資材で被覆しているが、発根に最適な用土や遮光程度、期間等が明らかでない。そこで、夏季高温期におけるミスト育苗時の用土および遮光の程度、期間について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 1 さし芽用土としてボラを用いると、パーライトに比べ根量が多くなる(表1)。
- 2 さし芽期間中を通して遮光率23%の白寒冷紗で被覆すると、正常苗率が高くなり、根量の多い苗が得られる。また、定植後の草丈は、遮光率45%や83%の資材に比べ長くなる(表1)。
- 3 さし芽後3〜6日間、遮光率45%の黒寒冷紗で被覆すると、さし芽期間中を遮光率23%の白寒冷紗で被覆した場合と同等に正常苗率が高く、根量の多い苗が得られ、定植後の生育にも差がない(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 1 花き栽培技術指針に登載し、夏季高温時におけるキクの育苗技術資料として活用する。
- 2 本情報はミスト噴霧を8:00〜17:00に行い、噴霧間隔を15分に1回30秒とする場合に適用できる。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:均質穂・苗の周年大量育苗技術
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:松井洋、谷川孝弘、國武利浩、小林泰生
発表論文等:平成8〜9年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書