キク親株のロックウール耕におけるマットの被覆資材および遮光程度と穂の収量性

[要約]秋ギク「秀芳の力」親株のロックウール耕では、ロックウールマットの被覆資材として不織布を飼養することにより、高温期の培地温の上昇が少なく、穂の収量が増加する。また、遮光して採穂を続けると採穂数や穂重量が減少することから、無遮光で栽培する。


園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092−922−4111
[部会名]園芸 [専門]栽培 [対象]花き類 [分類]普及


[背景・ねらい]

電照ギクの苗生産では、品種や作型ごとに親株を養成し採穂していることから、多くの労力を必要とし、経営規模拡大の制限要因の一つとなっている。そこで、平成7年度にはキク苗の周年大量生産を目的に、親株のロックウール耕における培養液濃度と栽植密度について明らかにした。今回は、ロックウール耕におけるマットの被覆資材や高温期の遮光程度が穂収量に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 ロックウールマットの被覆資材に不織布を使用すると、高温期の培地温度を無被覆と同程度に抑えることができる(図1)。また、不織布を使用することで採穂数が多くなり、穂の収量性が優れる(表1)。不織布の種類では、白色または黒色いずれも穂の収量性に差はない(データ略)。
2 親株を遮光して採穂を続けると、遮光程度が大きいほど採穂数、穂重量とも減少することから、無遮光で栽培するのがよい(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 電照ギク産地における苗の省力・大量生産のための技術資料として活用する。
2 ロックウールマット内の培養液は時々検査を行い、pH5.5〜6.5,ECl.5〜2.5dS/mの範囲を維持するようにする。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:親株のロックウール耕栽培技術
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:谷川孝弘、國武利浩、松井洋、小林泰生
発表論文等:平成8〜9年度園芸研究所野菜花き郎花き花木研究室試験成績書