シクラメンの底面給水栽培における培養液管理法

[要約]シクラメンの12月出し栽培において、液肥を底面から給液する場合の給液窒素濃度は、鉢上げ後の育苗期では25ppm、鉢替え後の生育中期では50〜75ppm、また出荷前の生育後期では75〜100ppmになるように管理すると、外側の葉の大型化がなく、適期に日持ちのよい高品質な鉢物が生産できる。


園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 連絡先 092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培 [対象]花き類 [分類]普及

[背景・ねらい]

鉢物類で最も需要が安定しているシクラメン生産では、C型鋼等を利用した底面給水栽培が導入されている。底面給水栽培は不織布等を用いて底面から給水する新しい栽培方法であり、灌水管理の省力化等により規模拡大を図ることができる。しかし、施肥は液肥と置肥とを併用する場合が多く、管理が煩雑で省力化に結びついていない。そこで、シクラメンの底面給水栽培において、液肥のみを用いて底面から給液するための培養液管理について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
@鉢上げから開花期までを通して給液窒素濃度を一定とした場合には、50ppmが適当であり、慣行の置肥による施肥方法と比較して鉢物品質が優れる。100ppm以上の濃度で栽培すると、葉が大型化し、品質が低下する(表1)。

A生育段階に応じた培養液管理を行うには、鉢上げ後6月上旬までの育苗期では窒素濃度25ppm、鉢替え後の生育中期では50〜75ppm、9月上旬以降の生育後期では75〜100ppmとすると、大幅な開花の遅れがなく、日持ちがよくなり(データ略)、鉢物品質が優れる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
@花き栽培技術指針に登載し、シクラメンの底面給水栽培における培養液管理法のための技術資料として活用する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:シクラメンの底面給水栽培
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成6〜8年)
研究担当者:小林泰生・谷川孝弘・松井洋
発表論文等:平成6〜8年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書
平成8年度園芸学会九州支部会研究集録