トルコギキョウ早生品種の11〜1月出し栽培のための夏季低温処理法と定植時期

[要約]トルコギキョウの早生品種「若紫」と「あずまの粧」は、夏季に苗の低温処理を行うことにより11〜1月出し栽培ができる。11月出し栽培には冷房育苗による8月上旬定植が、また12〜1月出し栽培には冷房育苗またはロゼット苗の低温処理による8月中旬定植が適応できる。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽培 [対象]花き類 [分類]普 及

[背景・ねらい]

トルコギキョウの10〜2月出し栽培では、播種後の育苗期が夏の高温期にあたることからロゼット株が多発し、採花期の遅延と切り花品質の低下が著しい。そのため、育苗期の高温回避を目的とした冷房育苗法による10〜12月出し作型を確立した(平成5年度成果情報)。また、抽台促進のための苗の低温処理法には、冷房育苗法のほかに夜冷育苗やロゼット化した苗の低温処理法(苗冷)が開発されている。特に苗冷は、既存の冷蔵庫が使用できるため経費が比較的安い等の利点があり、本県においても導入が望まれている。そこで、今までに開発された夜冷、冷房及び苗冷の各低温処理法について、早生品種を用いた10〜2月出し栽培への適応性について検討する。

[成果の内容]
@トルコギキョウの早生品種「若紫」と「あずまの粧」を用いた11月出し栽培では、8週間の冷房育苗を行って8月上旬に定植することにより、夜冷育苗や苗冷と比較して開花が早くなり、切り花長も長くなる。7月下旬定植ではいずれの低温処理法も10月下旬〜11月上旬に開花するが、切り花長が50〜60cm台と短くなる(表1)。

A秋冬期が低温・寡日照となる12〜1月出し栽培では、冷房育苗または苗冷を行って8月中旬に定植することにより、夜冷育苗と比較して開花株率が高く、開花が早くなり、切り花長も長くなる。冷房育苗と苗冷による切り花品質の差はほとんど認められない。9月上旬定植では、いずれの低温処理法についても2〜3月に開花し、開花株率が低下する(表2)。

[成果の活用面・留意点] @花き栽培技術指針に登載し、11〜1月出し栽培技術資料として活用する。

[具体的データ]

[その他] 研究課題名:トルコギキョウの作型と夏季低温処理法 予算区分:経常 研究期間:平成8年度(6〜8年) 研究担当者:小林泰生,谷川孝弘,松井洋 発表論文等:平成6〜8年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室成績概要