[背景・ねらい]
[成果の内容・特徴]
@キクの花首曲がりは、そのほとんどが止め葉(柳葉を含む)の着生する方向に曲がっている。花首の内部形態では、止め葉側の維管束組織にねじれや亀裂が生じており、それに伴って皮層細胞の伸長が妨げられているのが観察される。このことから、花首曲がりは、消灯後における花首維管束組織の正常な形成と発達が阻害されたことにより発生する症状である(図1A,B)。
A癒着症の内部形態では、頂芽と腋芽の花首の皮層組織が癒着しており、癒着部には小さな分裂組織の痕跡が認められる。また、癒着症は、消灯3週間後の早い時期において確認できることから、頂芽と腋芽の花首形成初期における細胞分裂の異常によって起きる症状と考えられる(図1C,D)。
B花首曲がり及び癒着症発生に及ぼすジベレリン(A3)等、植物生長調節剤処理の結果(データ略)から、花首曲がりは、消灯1〜2週間後の総苞形成期から小花形成期に内部構造的障害が生じる段階と、発蕾後に花首曲がりが助長または軽減される二つの段階によって決定される。また癒着症は、消灯2〜4週間後に発生すると推定される(図2)。
[成果の活用面・留意点]
@花き栽培技術指針に登載し、キクの花首曲がり防止対策資料として活用する。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:電照ギクの花首曲がり防止対策技術
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(5〜8年)
研究担当者:谷川孝弘、小林泰生、松井洋
発表論文等:園芸学会雑誌64巻別1・65巻別2、平成5〜8年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究
室成績概要