カーネーションのセル成型育苗における用土、施肥量及び定植方法


[要約]
 カーネーションのセル成型育苗では、ピートモスとボラの等量混合用土を用い、さし芽時に緩効性肥料(12-10-11)を用土1当たり0.8g施肥することにより、良苗が得られ、生育が優れる。セル成型苗は根鉢全体を埋設して定植するよりも置き植した方が側枝数が多く、年内の採花本数が多くなる。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先]  092-922-4111
[部会名] 園  芸
[専門]  栽 培
[対象]  花き類
[分類]  研究


[背景・ねらい]
 従来、カーネーションの育苗は床挿しや箱挿しによって行われ、発根後に堀上げた砂上げ苗によって行われてきた。しかし、砂上げ苗は苗の不揃いや活着不良あるいは立枯れ性病害が発生するなど問題が多い。一方、切花生産では、経営規模の拡大や無病苗の普及及びパテント品種の定着などの面から購入苗を直接定植する生産者が増加しており、苗生産の分業化が進行している。そのため、良苗を安定的に供給するためのセル成型育苗法とその利用技術の確立が望まれている。そこで、カ−ネ−ションのセル成型育苗における育苗用土の種類、施肥方法及び定植方法について検討する

[成果の内容・特徴]
@セル成型育苗( 162穴)における用土は、ピートモスとボラの等量混合用土を用いることにより、発根株率が高く、根重も重く、根鉢の形成が優れる(表 1)。

Aさし芽時に緩効性肥料(N-P-K=12-10-11、40日タイプ)を用土1当たり0.8g施用することにより、根重が重く、根鉢形成、定植後の生育が優れる(表 2)。

Bセル成型苗を定植する際は、根鉢全体を埋設するよりも置き植えした方が側枝数が多く、年内の採花本数が増加する(表 3)。

[成果の活用面・留意点]
@カーネーション栽培地域における技術資料として栽培技術指針に登載し、活用する。

Aセル成型トレイ育苗では苗が老化しやすいので、育苗期間は30日以内とする。

Bセル成型用土としてピートモスやパーライトを用いる場合には吸水に時間がかかるため、挿し木前に用土と水分を十分なじませておく。


[具体的データ]





[その他]  
研究課題名:カーネーションのセル成型苗の利用技術  
予算区分 :経常  
研究期間 :平成7年度(平成5〜7年)  
研究担当者:松井 洋・小林泰生・谷川孝弘  
発表論文等:平成5〜7年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書