[要約]
ネリネの「クリスパ」は、購入球根を露地で栽培し、 1作目の切花終 了後、
1月下旬に球根を掘り上げ20℃で6〜8週間処理して定植すると 5月下旬 〜 6月上旬に開花する。「ブランシュフルール」は
2.5℃で貯蔵した球根を 9 月中旬までに定植すると10月中旬まで開花を延長できるが、低温貯蔵した球根を10月以降に定植すると開花率が低下する。
園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先] 092-922-4111
[部会名] 園 芸
[専門] 栽 培
[対象] 球根類
[分類] 研究
[背景・ねらい]
ネリネは南アフリカ原産のヒガンバナ科の球根類である。乾燥に強く、花色が豊富で花持ちも優れるために利用価値が高い。しかし、生理生態に関して不明な点が多く開花調節技術も確立されていないため、出荷は自然開花期に限られ特定の時期に集中している。そこで、作期の拡大を図るための温度処理法について検討し、5〜6月出し栽培及び
9〜10月出し栽培技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
@ウンズラータ種「クリスパ」の購入球根は、 8月に露地へ定植すると10〜11月に開花する。その球根を
1月下旬に掘り上げ、20℃で 6〜 8週間処理すると 5月下旬〜 6月上旬に開花する。しかし、20℃処理開始まで夜間最低15℃のハウスで栽培した球根では開花しない(表
1)。
Aサルニエンシス種の「ブランシュフルール」「ピンクブロケード」及び「カリヤチド」は、球根を入手した後
2.5℃で貯蔵し定植を遅らせた場合、「ブランシュフルール」では開花を約 1カ月間抑制できるが、「ピンクブロケード」及び「カリヤチド」では開花しない(データ省略、表
2)。
B「ブランシュフルール」は、球根を入手してから定植までの期間を 2.5℃で貯蔵すると、
9月 1日の定植では 9月下旬、 9月20日定植では10月中旬に開花する。しかし、10月10日定植では開花株率が約30%に低下して切花長も短くなり、11月
1日以降の定植では開花しない(表 2)。
[成果の活用面・留意点]
@球根切り花栽培地域における栽培技術資料として活用する。
A切花栽培に使用する購入球根の大きさは「クリスパ」では球周12cm、「ブランシュフルール」では球周10cm以上であることが望ましい。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:ネリネの生育開花調節
予算区分 :経常
研究期間 :平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者:松井 洋・小林泰生・谷川孝弘
発表論文等:平成5〜7年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書