[要約]
バラロックウ−ル耕の折り曲げシュート切り栽培において、定植1 〜2年目に高品質の切り花を採花するためには接ぎ木苗がよい。また、1マット(91×30×7.5cm)当たりの栽植本数は7株が適当であり、給液濃度は「ソニア」及び「ロ−テロ−ゼ」ともにEC1.5〜2.0mS/cmで管理する。
園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先] 092-922-4111
[部会名] 園芸
[専門] 栽培
[対象] 花き類
[分類] 普及
[背景・ねらい]
バラロックウ−ル耕の折り曲げシュート切り栽培は、定植後に発生する新梢を随時、株元で折り曲げて光合成専用の枝を確保し、その転流養分を利用して株元から萌芽するベーサルシュートを切り花する方法である。この栽培方法では枝の生育が早く、切り花長の長い高品質の切りが収穫できるため、栽培面積は急増している。しかし、適用品種の選定や樹体・養液管理に課題が多い。そこで、折り曲げシュート切り栽培に適する苗の種類及び給液濃度について検討し、養液管理技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
@定植1年生株の採花本数は、「ソニア」では接ぎ木苗「ロ−テロ−ゼ」では挿し木苗が僅かに多く、時期別には秋冬季の11〜12月の割合が高い。また1マット(91×30×7.5cm)当たりの栽植本数は7株が適当であり、給液濃度は「ソニア」ではEC2.0mS/cm、「ロ−テロ−ゼ」では1.5mS/cmで給液すると収量が多く、品質も優れる。
A2年生株の採花本数は挿し木苗と比較して接ぎ木苗が多く周年の給液濃度はEC2.0mS/cmがよい。しかし、「ソニア」の4〜7月出しには給液濃度が1.5mS/cm、「ロ−テロ−ゼ」の6〜9月出しには2.0mS/cmが適当であるなど、品種によって養液管理を変える必要がある(表2)。
B挿し木苗の場合は根群の発達が不良であるため、夏季高温時に給液濃度2.0mS/cmで管理するとマット内のEC値が急激に上昇して、落葉しやすい(表2)。
[成果の活用面・留意点]
@バラロックウ−ル耕の折り曲げシュート切り栽培のための技術資料として活用する。
A夏季高温時にはマット内の培養液濃度が上昇して、落葉や枝枯れ等の生育障害が発生しやすいので、適時、水洗して適正なEC値に保つ必要がある。
[具体的データ]
図1 1年生株の採花本数(平成6年)
注)@定植:平成5年5月20日 A最終折り曲げ:7月25日
B供試マット:91×30×7・5p
表1 2年生株の採花本数(平成6年)
注)@定植:平成5年5月20日
A栽植密度:7株(91×30×7.5cmマット)
B切り花:65p以上の秀品
C給液:マイクロチューブ点滴給水、1日3回(150ml/回)
*落葉・枝枯れ
表2 培養液の肥料成分濃度
[その他]
研究課題名:バラのロックウ−ル栽培
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成5〜6年)
研究担当者:小林泰生、松井洋、谷川孝弘
発表論文等:平成5〜6年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績