シャリンバイ及びベニカナメモチのコンテナ栽培における生育促進法


[要約]
  シャリンバイのコンテナ栽培では、夏季は遮光率 30%の資材で遮光し、冬季は無加温ハウスに入室することにより苗の生育が促進される。ベニカナメモチは夏季の遮光は不用であり、冬季は最低夜温が10℃になるように加温し、電照を行う。  

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先]   092-922-4111
[部会名]   園芸
[専門]     栽培 
[対象]    花き類
[分類]    指導


[背景・ねらい]
  緑化樹のコンテナ栽培は植栽後の活着とその後の生育が良好なこと、植栽時期を選ばないこと、短期間に大量供給が可能なこと、出荷に際し根巻き等を必要としないことなどの利点があるため、需要が増大している。また、コンテナ栽培により、苗の移動が容易になり、温度や日長を制御することが可能となる。そこで、緑化樹のコンテナ栽培における夏季の遮光方法、冬季の栽培温度及び電照効果について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
@シャリンバイは7〜9月の 3カ月間を遮光率 30%の資材で遮光することにより、樹高が高くなり、側枝の生育も促進される。ベニカナメモチは遮光により樹高が低くなり、側枝の生育が抑制される(表1)。

Aシャリンバイは冬季に無加温及び10℃加温ハウスに入室することにより、露地栽培に比べ、樹高が高くなる。しかし、10℃加温ハウスでは露地栽培及び無加温ハウス栽培に比べて、側枝数が少なくなり、電照の効果は認められない(表2)。

Bベニカナメモチは10℃加温ハウスに入室することにより、露地及び無加温ハウス栽培に比べて、樹高が高くなり、さらに電照を行うことにより、側枝の生育が促進される(表2)。

[成果の活用面・留意点]
@花木のコンテナ栽培地域における栽培技術資料として活用する。


[具体的データ]


  表1 夏季の遮光率と生育(平成4年)

  注)@遮光期間:平成4年7月1日〜9月30日。
    A定植日:平成4年6月25日
    B調査:平成4年10月5日。
    Cポットの大きさ:5号ポリ鉢。
    D遮光資材:アルミミラーネット。


  表2 冬季の栽培条件及び電照と生育(平成5年)

 注)@処理期間:平成6年1月13日〜3月31日
   A定植日:平成4年6月15日
   B調査:平成6年5月27日
   Cポットの大きさ:シャリンバイ4号ポリ鉢、ベニカナメモチ5号ポリ鉢。
   D電照:深夜3時間の暗期中断。


[その他]  
研究課題名:栽培条件と生育促進法  
予算区分 :経常  
研究期間 :平成6年度(平成4〜6年)  
研究担当者:松井洋・坂井康弘・小林泰生・谷川孝弘  
発表論文等:平成4〜6年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書