ニゲラの生育開花習性と11〜 1月出し栽培法


[要約]
 ニゲラを 7月〜12月に播種すると、開花は2〜5月となり春咲き性を示すが、1〜3月の冬季及び4〜6月の春季に播種した場合には、播種後2.5〜4カ月で開花する。無加温・自然日長条件では開花しにくい11〜 1月に早出し栽培するには、播種を8〜9月に行い、定植時から開花まで電照を行うとともに、最低夜温を10℃とする。  

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先]   092-922-4111
[部会名]   園芸
[専門]     栽培 
[対象]    花き類
[分類]    指導


[背景・ねらい]
  近年、花きの消費形態の多様化・洋花嗜好が進み、ニゲラのような新しい草花に対する需要が強くなってきている。ニゲラは秋播き草花であるが、温度、日長反応等の生態的特性に不明な点が多く、最も供給が期待されている秋〜冬の出荷が困難となっている。そこで、ニゲラの秋〜冬出し栽培における播種時期と栽培条件及び電照効果について明らかにする。
  
[成果の内容・特徴]
@ニゲラを 7月〜12月に播種すると、開花は2〜5月となり春咲き性を示すが、 1〜 3月の冬季及び4〜6月の夏季に播種した場合には、定植後の長日や高温条件で生育開花が早まり、播種後2.5〜4カ月で開花する。しかし、無加温・自然日長条件では、播種時期を変えても、11〜 1月の は開花しない(図1)。

A開花時の切花長は 7〜11月播種では70cm以上と長く、切花品質は優れるが、1〜5月播種では60cm以下で短い(図1)。

B11〜12月出し栽培では、播種期は7月〜8月上旬が適期であり、定植時から開花まで電照を行う。 1月出し栽培では播種期は 8月下旬から 9月上旬が適期であり、定植時から開花まで電照を行うとともに、最低夜温が10℃になるよう管理すると開花期が早くなる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
@草花栽培地域における栽培技術資料として活用する。


[具体的データ]



  図1 播種時期と平均開花日(平成5年)
   注)@△:播種時期□:平均開花日 数字:切花長(p)
     A品種:ミスジーキル
     B育苗方法:ビートパンに播種し、本葉2〜3枚で2.5号鉢に鉢上げ、
           本葉7〜8枚で定植。


  表1 栽培条件及び電照と開花及び切花品質(平成6年)

  注)@品種:ミスジーキル
    A電照:深夜3時間の暗期中断。
    B育苗方法:162穴(約21ml/穴)トレイに播種し、30日
          後に定植。


[その他]
研究課題名:1,2年生花きの開花調節
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成5〜7年)
研究担当者:松井 洋・小林泰生・谷川孝弘
発表論文等:平成5〜6年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績