夏秋ギク「精雲」の無摘心栽培による施設の高度利用と所得の向上

[要約]
 夏秋ギク精雲」の電照抑制8月出し無摘心栽培で行うことにより、同一施設内で「秀芳の力」との組み合わせで、年3回収穫できる。また、摘心栽培と比較して出荷本数および切り花品質が向上し、10a当たり所得が増加する。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室   [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培  [対象]花き類 [分類]普 及
 
[背景・ねらい]
 夏秋ギク「精雲」の切り花生産では、慣行の摘心栽培と比較して定植から収穫までの栽培期間が短縮でき、高温期の切り花品質向上に有効な無摘心栽培が導入されつつある。本研究室では先に、親株のロックウール耕による挿し穂生産技術および8月上旬〜9月出し無摘心栽培のための栽培管理法を確立した(平成9、10年度成果)。そこで、無摘心栽培による切り花栽培の現地実証を行い、施設の利用効率や収益性、労働時間について明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 夏秋ギク「精雲」の8月出しを無摘心栽培で行うことにより、「秀芳の力」の12月および4月出し二度切り栽培との土地利用競合を回避できることから、同一施設内で年間3回の収穫が可能となる(図1)。
 
 2 無摘心栽培では種苗費等の経営費が慣行よりも多くかかるが、出荷本数が増え、平均単価が向上するため、10a当たり所得は約25万円増加する(表1)。
 
 3 無摘心栽培では、慣行と比較して育苗から定植に要する労働時間は多くなるが、摘心・整枝作業が不要であることから、総労働時間は同程度である(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 電照ギク産地における施設の高度利用体系および収益性向上のための経営資料として活用できる。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:高品質キク新生産技術の実証と経営的評価
 予算区分:国庫(地域重要)
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:谷川孝弘、國武利浩、松井 洋、小林泰生
 発表論文等:平成9〜10年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書