キク直接挿し栽培のための親株の施肥量、栽植密度および採穂方法
[要約]
秋ギク「秀芳の力」の親株管理では施肥量をN、P2O5、K2Oでそれぞれ12kg/10a、栽植密度を31株/m2とし、側枝の下3~4節を残して1週間おきに採穂すると採穂数が多くなる。夏秋ギク「精雲」では施肥量をそれぞれ12kg/10aずつとし、裁植密度を26株/㎡とする。
園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]育 苗 [対象]花き類 [分類]普 及
[背景・ねらい]
施設ギクの切り花生産では、最近、挿し穂の発根作業を省略した直接挿し栽培が増える傾向にある。直接挿し栽培では、育苗の省力化を目的に挿し穂を購入する生産者が多いことから、共同育苗施設等を利用した苗の専業生産によって、大量の挿し穂を供給することが求められている。しかし、多くの挿し穂を得るための親株管理法や採穂方法、並びに挿し穂の直接挿し後の生育について検討した事例はない。そこで、主要品種「秀芳の力」および「精雲」親株の施肥量、裁植密度および採穂方法が、長期間連続して採穂する場合の採穂数や直接挿し後の生育に及ぼす影響について検討し、親株管理技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
1 秋ギク「秀芳の力」の親株では、施肥量をN、P2O5、K2Oでそれぞれ12~16kg/10a、栽植密度を31株/m2とし、側枝の下3~4節を残して1週間おきに採穂すると採穂数が多くなる。採穂方法の違いによる直接挿し後の生育への影響はない(表1、2)。
2 夏秋ギク「精雲」の親株では、施肥量をN、P2O5、K2Oでそれぞれ12kg/10aとすると採穂数が多くなる。栽植密度や採穂方法の違いによる直接挿し後の生育への影響はない(表3、4)。
[成果の活用面・留意点]
1 挿し穂の大量生産を目的とした親株管理のための技術資料として活用できる。
2 「精雲」の親株では、施肥を20kg/10aとすると直接挿し後の草丈は高くなるが、採穂数が減少するのでよくない。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:新省力栽培技術の開発
予算区分:県特
研究期間:平成10年度(平成8~12年)
研究担当者:松井 洋・谷川孝弘・國武利浩
発表論文等:平成8~10年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書