夏秋ギク「精雲」の無摘心栽培による8月上旬および9月出し切り花品質向上技術

[要約]
 夏秋ギク精雲」の無摘心栽培による8月上旬出しでは、5月中旬に定植し、定植直後から電照を開始して6月中旬に消灯すると切り花品質がよい。9月出しにおける貫生花の発生は消灯後から3週間を遮光することにより、また電照中の早期発らいは、採穂前の親株にエセフォンを処理することにより軽減できる。

 園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092-922-4111
 [部会名]園  芸  [専門]栽 培  [対象]花き類 [分類]普 及
 
[背景・ねらい]
 夏秋ギク「精雲」の切り花生産で普及している摘心栽培は、苗数が少なくて済む反面、定植から収穫までの期間が長くかかることから、最近、生育期間を短縮できる無摘心栽培が試みられつつある。しかし、無摘心による8月上旬出しでは収穫期調節や切り花品質向上のための栽培管理が、また、9月出しでは高温による貫生花の発生や電照期間中の早期発らい防止が大きな課題となっている。そこで、無摘心栽培における8月上旬出しのための定植、消灯時期、並びに9月出しにおける貫生花発生と早期発らい防止のための遮光処理や親株管理法について検討し、切り花品質向上技術を確立する。
 
[成果の内容・特徴]
 1 夏秋ギク「精雲」の無摘心栽培による8月上旬出しでは、5月14日に定植し、6月18日に消灯することにより切り花長100cm以上で、花弁のねじれが少ない、品質のよい切り花を収穫できる(表1)。
 
 2 7月下旬の高温期に消灯して9月に出荷する作型では、消灯後から3週間を遮光率50%の資材で遮光することにより、施設内の最高気温が4〜5℃低下し(データ略)、貫生花の発生を軽減できる(表2)。
 
 3 採穂前の親株にエセフォン400ppmを処理し、伸びてきた側枝を苗として利用することにより、定植後の電照期間中における早期発らいを軽減できる(表3)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 平坦地における「精雲」の夏秋期出し品質向上のための技術資料として活用できる。
 2 エセフォンには商品名「エスレル10」と「エスレル20」があり、それぞれ濃度が異なるので注意する。
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:高温期における高品質切り花キクの生産技術
 予算区分:国庫(地域重要)
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:國武利浩、谷川孝弘、松井 洋
 発表論文等:平成9〜10年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書