夏秋ギク「精雲」の奇形花(貫生花)発生に及ぼす高温条件

[要約]
 夏秋ギク精雲」の電照抑制栽培では、消灯後の昼/夜温が30/20℃を超えると開花期が遅れるようになり、昼温35℃以上、夜温25℃以上の高温に遭遇すると貫生花が発生する。貫生花の発生に影響する高温遭遇時期は、消灯2〜4週間後である。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園  芸 [専門]生 態  [対象]花き類 [分類]指 導
 
[背景・ねらい]
 夏秋ギク「精雲」の施設栽培では、日長処理によって6月から9月までの4カ月間に及ぶ切り花生産が行われている。しかし、特に電照抑制8〜9月出し栽培では、施設内の気温の上昇による開花期の遅れや奇形花(貫生花)等の発生により、計画的な出荷ができなかったり、切り花品質が低下する等の問題を生じている。そこで、開花期の遅れや貫生花の発生に及ぼす温度条件や高温遭遇時期を明らかにし、切り花品質向上のための技術資料とする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 夏秋ギク「精雲」について、消灯後の昼/夜温を20/15℃で栽培すると、消灯1週間後に生長点膨大期〜総苞形成期、2週間後に総苞形成後期〜小花形成前期、3週間後に小花形成後期〜花弁伸長期に達し、約4週間後に発らいする(図1)。
 2 「精雲」の電照抑制栽培では、消灯後の昼/夜温が30/20℃を超えると開花期が遅れるようになり、昼温35℃以上または夜温25℃以上の高温に遭遇すると、消灯後の増加葉数が増え、頭花内の総苞片数が増加して貫生花が発生する(表1)。
 3 開花時における頭花内の総苞片数や貫生花の発生に影響する高温遭遇の時期は、消灯2〜4週間後である(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 キク産地における夏秋ギク「精雲」の切り花品質向上のための技術資料として活用できる。
 2 日中の高温回避には寒冷しゃによる施設の遮光処理が効果的であり、平成10年度成果夏秋ギク「精雲」の無摘心栽培による8月上旬および9月出し切り花品質向上技術」を参照する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:高温期における高品質切り花キクの生産技術
 予算区分:国庫(地域重要)
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:谷川孝弘、松井 洋、國武利浩
 発表論文等:平成8年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書
       九州農業研究第60号(1998年)