宿根アスター「ジョリージャンパー」の芯止まり防止と切り花品質向上技術

 [要約]宿根アスタージョリージャンパー」の11、12月出しでは、2月に株を掘り上げ、−2℃で貯蔵した苗(長期貯蔵苗)を用い、無摘心で栽培すると芯止まりの発生を防止できる。12月出しでは、夜間最低15℃で加温すると切り花長が長くなって品質が向上する。 

 園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室  [連絡先]092-922-4111
 [部会名]園  芸 [専門]栽 培  [対象]花き類 [分類]普 及
 
[背景・ねらい]
 宿根アスターは生育適温域が広く、日長処理で開花調節が可能なため、水田転作花きとして切り花生産が増加している。しかし、本県の代表的な青色品種「ジョリージャンパー」では、電照抑制11〜12月出し栽培で主枝の伸長が早期に停止する「芯止まり」の発生や、花茎の伸長不良による切り花品質の低下が問題となっている。そこで、苗の種類、栽培夜温、電照期間および摘心の有無が芯止まりの発生と切り花品質に及ぼす影響を明らかにし、11、12月出し栽培技術を確立する。(要望機関名:南筑後普(H8))
 
[成果の内容・特徴]        
 1 「ジョリージャンパー」の電照抑制11、12月出しでは、2月に株を掘り上げて−2℃で貯蔵した苗(長期貯蔵苗)を用い、無摘心で栽培することにより、挿し芽苗と比べて芯止まりの発生を防止でき、切り花長の長い、品質のよい切り花が収穫できる(表1、2、図1)。
 
 2 電照抑制12月出しで長期貯蔵苗を用いた無摘心栽培では、栽培夜温を15℃とすると10℃に比べて開花が早く、切り花長が長くなる。定植後の電照期間は8週間でよい(表2)。
 
 3 電照抑制12月出しで挿し芽苗を用いる場合には、無摘心で栽培することにより、芯止まりの発生が減少して草姿が改善され、切り花長も長くなる(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 宿根アスターの秋冬出し栽培における品質向上のための技術資料として活用できる。
 2 株の長期貯蔵方法については、平成8年度成果「セル成型トレイを利用した宿根アスター吸枝苗の長期貯蔵法」を参照する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:宿根アスターの芯止まり防止技術
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成9〜10年)
 研究担当者:松井 洋・谷川孝弘・國武利浩
 発表論文等:平成9〜10年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書