[背景・ねらい]
[成果の内容・特徴]
@形状記憶合金製コイルバネによる自動換気装置が適応できる野菜品目・作型としては、ナス、スイカ等果菜類やスイートコーンの早熟栽培、ダイコンの春だし栽培等が考えられる(表1)。
A小型トンネルにおいてコイルを2個連結すると、コイルが縮もうとする力が踏み板に伝わりにくくなり、換気幅が小さく、ばらつきが大きくなるため、コイル数は1個にした方が有利である(図1、表2)。冬場は10p程度の換気幅でも十分な換気効果が得られるため、冬場のトンネル栽培に有効と考えられる(データ略)。
B中型トンネルでは、コイルを2個連結にすることで十分な換気幅が確保できるため、4月定植のナス、スイカ、スイートコーン等の早熟栽培に有効と考えられる(表3)。
D夕方、人為的に換気具を押し下げる場合は、トンネル内気温が10℃以上ではバネに弾性が残り完全に閉まらないため、換気具の押し下げは一般には日没時に行う。しかし、夕方早めに閉めて保温を必要とするスイカ等ではウエイト重量を重くして、日没前に換気具を押し下げることが適当である(表4)。
[成果の活用面・留意点]
@形状記憶合金製コイルバネは高価であるが、半永久的な復元力があり錆にも強いため、永く使用することでコスト低減が可能となる。
Aトンネルの被覆資材には、ポリオレフィン系フィルム等の使用によって、開放時の摩擦抵抗を軽減する必要がある。
Bコイルの設定記憶温度と実際のトンネル内最高気温は、コイル数、ウエイト、フィルム押さえ等の条件によってずれが生じるため、作物に応じた作動温度の条件設定が必要である。
Cレタスでは、本県での自動換気装置導入による生育促進や玉ぞろい向上等の導入効果を検討し、有効性を明らかにする必要がある。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:野菜産地における形状記憶合金製コイルバネ導入条件解明
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成8年)
研究担当者:姫野修一、真鍋尚義
発表論文等:平成8年度園芸研究所野菜花き部施設機械研究室成績概要書