[要約]
カルシウム含量の高いナバナ品種として、秋冬期側枝どり栽培は「アブラマサリ」、夏期株どり栽培では「五月菜」及び「京築在来種」を選定した。
豊前分場・普通作物・野菜研究室
[連絡先] 09302-3-0163
[部会名] 園芸
[専門] 栽培
[対象] 葉茎菜類
[分類] 普及
[背景・ねらい]
京築地域の特産物であるナバナは高い栄養価と食味が市場で評価され、ここ数年全国的にも栽培面積が増加している。このため産地間競争も一層激化している。そこで、有利な販売を行うために、栄養成分として重要なカルシウム含量の高い有望な品種を選定する。
[成果の内容・特徴]
カルシウム含量が高いナバナ品種の特性は次のとおりである。
@秋冬期側枝どり栽培では供試した13品種のなかで「アブラマサリ」のカルシウム含量が新鮮物100g当たり 102〜 135mgで、最も高い。なお、カルシウム含量は収穫時期で異なり、12〜 2月が高い(表 1)。
A「アブラマサリ」は「京築在来種」と比べて収量は10a当たり2987kgで、同程度である。平均側枝重は重く、葉色が濃い。また、抽苔は遅い(表 2)。
B夏期株どり栽培では供試した 9品種のなかで「五月菜」及び「京築在来種」のカルシウム含量が高い。新鮮物100g当たりの含量はそれぞれ 161mg、159mgである( 表 3)。
C「五月菜」は10a当たり599kgで、収量が多い。「京築在来種」は「五月菜」より葉色がやや濃く、外観が優れる(表 3)。
[成果の活用面・留意点]
@福岡県野菜推奨品種一覧表に掲載し、京築地域のナバナの品種導入のための資料として活用する。
A「アブラマサリ」は側枝の伸長がやや遅いので、11〜12葉で早めに摘心を行い、初期収量を高める。
[具体的データ]
図1 秋冬期側枝どりナバナ品種のカルシウム含量(平成6年)
@播種期:9月6日 A定植期:9月29日
表1 秋冬期側枝どりナバナ品種と収量・特性(平成6年)
注)@葉色:葉緑素計SPAD502による測定値で、11〜3月までの平均値
A播種期:9月6日A定植期:9月29日
表2 夏期株どりナバナ品種の収量・特性(平成5年)
注)@葉色:葉緑素計SPAD502による測定値
A播種期:6月28日B収穫期:7月22日
[その他]
研究課題名:野菜の高品質栽培技術の確立
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成5〜7年度)
研究担当者:林田達也,柴戸靖志,森藤信治
発表論文等:平成5年度福岡県農業総合試験場豊前分場 野菜試験成績書 福岡県農業総合試験場研究報告 第14号