[要約]
いちごの無仮植栽培において、親株からのランナーは8月上旬に切り離すことによってクラウンが10mm以上の多くの大苗を確保できる。また、根部を広げ、浅く植え付ける船底植え法によって、収量が安定して多くなる。
園芸研究所・野菜花き部・野菜品種研究室
[連絡先] 092-922-4111
[部会名] 園芸
[専門] 栽培
[対象] 果菜類
[分類] 普及
[背景・ねらい]
本県における主要ないちごの育苗法であるポット育苗では、取り扱う培土量が多く重労働であることや夏季の高温条件下での煩雑な管理作業を強いられるなどの問題がある。
そこで、育苗床を必要とせず、育苗期間中の労力も大幅に軽減できる無仮植栽培において、子苗数が確保された8月以降における親株からのランナー切り離し時期や苗の植え付け法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
@8月上旬までに親株からのランナーを切り離すことによって、葉数が5枚(クラウン径10mm)以上の大苗を確保できる(図1)。
A根部を広げた状態で浅く植え付ける「船底植え法」によって収量が安定して多くなる(図2)。
B苗はクラウン径が10mm以上の大苗を利用し、小苗を利用する場合には植え付ける際の葉数を2枚以上確保する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
@いちご栽培指針に掲載し促成いちごの中休み対策のための作型として活用する
B定植後、心葉の出葉が認められるまでは寒冷紗で被覆するとともに、葉水をかけることによって活着を促す。
[具体的データ]
図1 ランナーの切り離し時期と子苗数(平成3年)
注)@()内の数字は大苗の割合上(%)
A苗の大きさ:大苗;クラウン後10o
小苗;クラウン径10o未満(図3も同じ)
図2 植え付け方法と月別収量
注)@収量は3カ年平均
A作型:平成4年度;低温処理による促成栽培
平成5,6年度;普通促成栽培
図3 植え付け時の苗の大きさ、葉数と月別収量(平成6年)
注)@作型:普通促成栽培A葉数は定植時に摘葉して調整
(参考) 無仮植苗の植え付け方法
[その他]
研究課題名:隔離床利用による省力育苗技術の確立
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成3〜6年)
研究担当者:伏原 肇、柴戸靖志、林 三徳、三井寿一
発表論文等:平成3〜7年度園芸研究所野菜花き部野菜試験研究成績概要集