促成ナスの養液栽培用培地としての「細粒礫」および「ヤシガラ」の適応性
[要約]
促成ナスのかけ流し養液栽培における培地として、「細粒礫」および「ヤシガラ」は、安価で廃棄時における環境上の問題もなく、収量、上中物率も慣行培地ロックウールの場合と同等で、十分適応性がある。
園芸研究所・野菜花き部・野菜栽培研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培 [対象]果菜類 [分類]指導
[背景・ねらい]
促成ナス栽培において、土づくりの手間を省き青枯病等の土壌伝染性病害を回避できる生産システムとして養液栽培が普及しつつある。しかし、慣行培地であるロックウールは、使用可能年数や使用後の廃棄方法に問題がある。
そこで、廃棄し易いヤシガラおよび長期間使用できる細粒礫について、促成ナスの養液栽培用培地としての適応性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 細粒礫(鉱物)は、慣行培地のロックウールに比べて株当たりの培地価格が6割程度と安く、長期間使用できるが、容積重が大きいため設置時の取り扱いにやや労力を要す る(表1)。
2 ヤシガラ(有機物)は、ロックウールに比べて株当たりの培地価格が8割程度と安く、培地の重さは同等で設置は容易である(表1)。
3 細粒礫およびヤシガラを養液栽培の培地として用いる方法は、慣行培地(ロックウール)と同等の収量および上中物品率を得ることができる(表2)。
4 細粒礫は定植後1〜2ヶ月間培養液を湛液管理するため、排液が少ない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
1 養液栽培技術の参考資料として栽培技術指針に登載し、活用できる。
2 細粒礫を培地として用いる場合は、定植後根が十分に張るまで湛液管理とし、以降はロックウールと同様の給液管理を行う。
3 ヤシガラの耐用年数はロックウールと同程度で、使用後は圃場に施用して、有機質資材として活用する。
4 細粒礫は長期間使用できるが、1作終了後はロックウールと同様に除塩および培地の消毒を行う。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:促成ナスの養液栽培技術の確立
予算区分:県単
研究期間:平成10年度(平成7〜9年)
研究担当者:満田幸恵、月時和隆、山本幸彦
発表論文等:平成8、9年度 園芸研究所 野菜花き部 野菜試験成績書