設置が簡易で安価な毛管水耕式の平床養液栽培装置
[要約]
安全に処理できる安価な資材を活用することにより初期投資額が極めて低く抑えられる平床養液栽培装置を開発した。この養液栽培装置は設置が容易で、栽培終了時の廃液がほとんど出ない。
園芸研究所・野菜花き部・野菜品種研究室 [連絡先]092-922-4522
[部会名]園 芸 [専門]農業施設 [対象]葉茎菜類 [分類]研究
[背景・ねらい]
養液栽培は連作障害回避技術等として極めて有効な栽培法であるが、設置に要する初期投資額が 10a当たり500〜1,000万円と高く、経営安定のためには大規模化や作付け回数増加による大幅な生産コストの低減を図る必要がある。また、今後の養液栽培では、栽培が終了した後の残液処理も大きな課題となる。
そこで、簡易な設備で初期投資が低く、廃液のほとんど出ない養液栽培装置を開発する。
[成果の内容・特徴]
1 養液栽培装置の栽培床は平床であり、平坦な床面であれば容易に設置できる(写真1)。
2 栽培床は、培養液を漏らさない不透水性シート、培養液を溜める吸水シート、培養液を拡散する揚水シート、遮根シートとマルチングシートのほか点 滴チューブから構成される(図1)。
3 使用するシートには塩素や窒素が含まれていないため、焼却してもダイオキシンやシアン化水素は発生しない。
4 市販の培養液を施用することで軟弱野菜が栽培でき(表1、写真2)、栽培終了時の廃液がほとんどでない。
5 設置に要する資材費は10a当たり58万円程度と安価である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1 本装置に適する品目、作型、培養液を選定し、環境保全型養液栽培技術の確立に資する。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:環境保全型超低コスト養液栽培方式の開発
予算区分:県特
研究期間:平成10年度(平成10〜11年)
研究担当者:伏原 肇、三井寿一
発表論文等:第38回養液栽培研究会