イグサ本田における春期の深水管理による効率的な雑草防除と着花抑制
[要約]
イグサ本田において、3月下旬〜4月上旬の20日間程度水深5cmの深水湛 水は抑草効果が高く、除草剤の散布回数が削減できる。また、湛水処理により花序着生率が減少し品質が向上する。
筑後分場・い草研究室 [連絡先]0944-32-1029
[部会名]農 産 [専門]栽培 [対象]工芸作物類 [分類]普 及
[背景・ねらい]
近年、イグサ本田の雑草は、冬期から4月までの長期の乾田管理に伴って発生が多種、長期になり防除が困難になっている。特に5月以降発生する広葉雑草に対しての防除策は少なく、生産現場では雑草防除に苦慮している。また、乾田化によりイグサの着花が多くなり品質に影響がみられている。深水湛水は雑草抑制と着花抑制の効果が考えられるので、湛水期間がイグサの生育、品質、花序着花率に及ぼす影響を調査して、効率的な雑草防除法を明らかにする。(要望機関名:南筑後普、八女普(H6))
[成果の内容・特徴]
1 イグサ本田における3月下旬〜4月中旬にかけての春期の深水湛水は、雑草の発生、特にタカサブロウ等の防除困難な広葉雑草の発生を抑制する。抑草効果(表1、表3)、イグサ生育及び収量面から、湛水期間20日・湛水の深さ5cmが最も有効である(表2、表3)。
2 移植苗を慣行よりやや大きめ(15cm以上茎10〜12本)にすると収量は安定する(表2)。
3 湛水後に処理する除草剤は、クレバー粒剤又はモーダウン粒剤で抑草効果が高い。また、湛水処理との組み合わせによりイグサ刈取期までの長期間、抑草効果が持続し、5月以降の除草剤の散布回数が削減できる(表3)。
4 20日湛水処理により花序着生率が減少する(表2、表3)。
[成果の活用面・留意点]
1 イグサ栽培技術資料として活用できる。
2 連作により下層がグライ化した圃場では、還元化しやすいので適用できない。
3 除草剤処理時の最高気温が20℃以上(4月4半旬以降)では、クレバー粒剤は薬害発生のおそれがあるため、モーダウン粒剤を使用する。
4 安定した収量を得るため、移植苗は慣行よりやや大きめ(15cm以上茎10〜12本)にする。
[具体的デ−タ]
[その他]
研究課題名:環境負荷低減を前提とした春期深水灌漑による雑草防除
予算区分 :経常
研究期間 :平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:堺田輝貴、内村要介、住吉 強、藤冨慎一
発表論文等:平成7〜9年度筑後分場いぐさ栽培・加工に関する試験成績書
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