チェイン法による二条大麦の耐倒伏性の評価方法

[要約]
 二条大麦耐倒伏性の指標として、チェイン法によるcLr値が適する。cLr値は、風雨などによる倒伏に対する抵抗力を表し、二条大麦の品種間や播種量など異なる栽培間において、倒伏程度と高い相関を示す。

農産研究所・栽培部・作物品種研究室   [連絡先]092-924-2848 
 [部会名]農 産   [専門]栽培   [対象]麦類  [分類]研究
 
[背景・ねらい]
 麦類の倒伏は、収量の低下や品質の劣化等を引き起こすため、良質多収栽培技術確立のために解決しなければならない重要な課題である。従来、耐倒伏性の評価は、成熟期に観察評価を行っているが、倒伏が起きない年があり、客観的かつ効率的な調査方法の開発は十分ではない。
 そこで、耐倒伏性の優れる二条大麦品種の選定や安定栽培法の確立のため、小麦で確立したチェイン法による耐倒伏性の評価方法(平成 9年度試験研究成果)を用いて、二条大麦の様々な品種や栽培法における耐倒伏性について、倒伏が起きない年においても、効率的かつ客観的に評価できる方法を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 
1 チェイン法による cLr値は、二条大麦において多数の品種や育成系統を用いた場合、成熟期の倒伏程度と有意な相関を示し、客観的な耐倒伏性の評価の指標となる(表1、図1)。
 
2 チェイン法による cLr値は、二条大麦において播種量、播種深度、追肥量などの栽培法が異なっても、成熟期の倒伏程度と相関を示し、客観的な耐倒伏性の評価の指標となる(表1、図 1)。
 
[成果の活用・留意点]
1 二条大麦の品種選定や栽培法確立のための耐倒伏性の評価指標として活用する。
 
2  cLr値は、出穂16〜18日後に長さが中庸な稈の穂首に鎖(0.038g/1鎖)をつけて垂らし、稈がたわんでつり合った状態の穂首から地上部までの鎖の重さを稈長で除して表す(図2)。
 
3 cLr値の測定精度は、二条大麦の稈10本測定したとき、 95%信頼区間における許容誤差率が最大約±0.6である。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:作物の品種特性解析に関する試験
予算区分:経常             
研究期間:平成9〜10年度(7年〜継) 
研究担当者:内村要介、佐藤大和、松江勇次 
発表論文等:なし