福岡県農業総合試験場研究報告20 (2001) pp71−74
‘ヒリュウ’の組織培養による増殖法と簡易発根法
能塚一徳・鶴丈和1)・堀江裕一郎2)
(果樹苗木分場)
[摘要]カンキツ台木に用いられているカラタチの1系統である‘ヒリュウ’の多芽体を得、組織培養による増殖法及び増殖した後に得られるシュートを穂木とした場合の簡易発根法を検討した。シュートは挿し木後2週間で一次根の形成が完了し、その後は二次根が形成され、挿し穂を長く取るほど根の生育は良かった。挿し穂に適したシュートを効率的に得るには、NAAは添加せず、BAを0.3ppm添加したMT培地が適していた。‘ヒリュウ’挿し木用土にはUCソイルが適していたが、手間、コスト等の実用性を考慮すると滅菌した畑土壌か水田土壌が適していると考えられた。大量の苗を得るための実用化試験では、畑土壌に挿し木した1,222本のうち76.7%で新梢が伸長し、枯死個体はわずか3.7%であった。
[キーワード:カンキツ、台木、ヒリュウ、組織培養、大量増殖]
Propagation and Simple Rooting Method of 'Flying Dragon' by Tissue Culture. NOTSUKA Kazunori, Yuichiro HORIE and Takekazu TSURU(Fukuoka Agric. Res.Cent., Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res.Cent. 20: 71 - 74 (2001)
[Key words : Citrus, Rootstock, Flying dragon, Tissue culture, Mass propagation]
1)現南筑後農業改良普及センター 2)現農業技術課