福岡県農業総合試験場研究報告20 （2001） pp 42−47
トマトかいよう病菌Clavibacter michiganensis subsp.michiganensis のDot Immuno-Binding Assay(DIBA)法およびTissue Printing Immunoassay(TPI)法による検出
石井貴明・嶽本弘之
（生産環境研究所）
［摘要］高感度かつ簡易な血清学的検出法であるＤＩＢＡ法及びＴＰＩ法のトマトかいよう病の簡易診断への適用を試みた。トマトかいよう病菌Clavibacter michiganensis subsp.michiganensis YM7709株で作成した抗血清を用いて本県で分離されたC. m. subsp.michiganensis８菌株及びＮ6601株の計９菌株の血清学的性質を寒天ゲル内二重拡散法によって検討した。その結果、抗ＹＭ7709血清は供試したトマトかいよう病菌の９菌株と特異的に反応したが、他種細菌とは反応しなかった。また、これら９菌株間に血清学的差異は認められなかった。以上の結果から、本病原細菌の検出に抗ＹＭ7709血清による血清学的手法が利用できる可能性が高いことが示唆された。精製した抗ＹＭ7709 IgGを用いたＤＩＢＡ法による本病原細菌の検出について検討したところ、培養細菌の懸濁液を用いた場合、検出限界は1.0×10６cfu／ml（1.0×10３cfu／dot）であった。さらに、接種したトマトの発病小葉及び自然感染トマトの発病小葉のいずれにおいてもＤＩＢＡ法及びＴＰＩ法による本病細菌の検出が可能であった。以上の結果から、ＤＩＢＡ法及びＴＰＩ法はトマトかいよう病の簡易診断に適用可能と考えられる。
[キーワード：トマトかいよう病、Clavibacter michiganensis subsp.michiganensis、血清学的検出法、ＤＩＢＡ法、ＴＰＩ法、簡易診断]
Serological Detection of Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis, a Pathogen of Tomato Bacterial Canker, with Application of Using Dot Immuno-Binding Assay (DIBA)and Tissue Printing Immunoassay(TPI). ISHII Takaaki and Hiroyuki TAKEMOTO (Fukuoka Agric. Res.Cent., Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res.Cent. 20: 42 - 47 (2001)
[Key words : tomato bacterial canker, Clavibacter michiganensis subsp.michiganensis, serological method, DIBA, TPI]