福岡県農業総合試験場研究報告20 (2001) pp 37−41
マメハモグリバエの寄生性土着天敵ハモグリミドリヒメコバチ成虫に対する各種農薬の影響
山村裕一郎・嶽本弘之
(生産環境研究所)
[摘要]施設トマト栽培においてマメハモグリバエLiriomyza trifolii(Burgess)の寄生性土着天敵ハモグリミドリヒメコバチNeochrysocharis formosa(Westwood)を利用した総合的害虫管理(IPM)を確立するためには、本天敵に影響の少ない農薬を選抜することが不可欠である。そこで、ハモグリミドリヒメコバチ成虫に対する各種農薬の影響をドライフィルム法により検討した。その結果、以下の農薬がIPMに組み込み可能と考えられた。マメハモグリバエ:フルフェノクスロン乳剤、オオタバコガHelicoverpa armigera(Hubner)およびハスモンヨトウSpodoptera litura(Fabricius)の大型麟翅目幼虫;BT剤、フルフェノクスロン乳剤およびルフェヌロン乳剤、オンシツコナジラミTrialeurodes vaporariorum(Westwood)およびシルバーリーフコナジラミBemisia argentifolii:ブプロフェジン水和剤、オレイン酸ナトリウム液剤およびピメトロジン水和剤、ワタアブラムシAphis gossypii Glover やモモアカアブラムシMyzus persicae(Sulzer):オレイン酸ナトリウム液剤およびピメトロジン水和剤、トマトサビダニAculops lycopersici(Massee):ルフェヌロン乳剤、灰色かび病Botrytis cinerea(Persoon)および葉かび病Cladosporium fulvum(Cooke):トリフルミゾール乳剤、ポリオキシン水和剤およびイミノクタジンアルベシル酸塩水和剤。また、エマメクチン安息香酸乳剤は、影響の持続期間が7日程度と比較的短く、本天敵を導入する前に害虫類の密度を低下させるために利用できると考えられた。
[キーワード:ハモグリミドリヒメコバチ、マメハモグリバエ、IPM、選択的農薬、施設トマト]
Effects of Pesticides on the Adult of Neochrysocharis formosa(Westwood), a Indigeous of Parasitoid of Liriomyza trifolii(Burgess). Yuichiro YAMAMURA, Hiroyuki TAKEMOTO (Fukuoka Agric. Res.Cent., Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent. 20: 37 - 41 (2001)
[Key words : Neochrysocharis formosa(Westwood), Liriomyza trifolii(Burgess), IPM, selectivepesticide, tomato greenhouse]