福岡県農業総合試験場研究報告20 (2001) pp 31−36

‘ぼかし肥料’の原料の違いが窒素無機化及びアンモニアガス発生に及ぼす影響

荒木雅登・井上恵子1)・山本富三
(生産環境研究所)

[摘要]ぼかし肥料施用時の作物に対するガス障害防止を目的として。菜種油粕、魚粕、米ぬか及び土を原料として混合割合を変えて作製した‘ぼかし肥料’の窒素無機化量、アンモニアガス発生量及びキクに対するガス障害発生程度について検討した。
 菜種油粕と魚粕のみで作製したぼかし肥料は培養直後からの急激なアンモニア化成のためにpHが上昇し、供試したぼかし肥料の中で培養12週までのアンモニアガス発生量が最も多かった。一方、この2種の有機質資材に米ぬかを混合したぼかし肥料では米ぬかのC/N比が高いことから見かけ上の窒素無機化が緩慢であるため、米ぬかの混合割合が高まるのに対応してアンモニアガス発生量が減少した。また、米ぬかでなく土を2種の有機質資材に混合して作製したぼかし肥料では、pHの上昇が緩やかとなり、米ぬかを混合したぼかし肥料よりもさらにアンモニアガス発生が抑制された。
 キクに対するアンモニアガス障害発生程度は、室内実験の結果に準じ、菜種油粕と魚粕のみで作製したぼかし肥料に対して、米ぬかまたは土を混合することでガス障害の発生は大きく軽減された。

[キーワード:有機質肥料、アンモニアガス障害、窒素無機化、ぼかし肥料]

 Influence of Varying Compositions of the Materials in ‘Bokashi' Fertilizer on the Nitrogen Mineralization and Volatilization of Ammonia Gas. ARAKI Matato, Keiko INOUE and Tomizou YAMAMOTO (Fukuoka Agric. Res.Cent., Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent. 20: 31 - 36 (2001)

[Key words : organic fertilizer, ammonia gas damage, nitrogen mineralization, Bokashi fertilizer]

 

1)現園芸研究所

 

全文  full text  (pdf 734KB)

 

目次へ戻る  back to contents