福岡県農業総合試験場研究報告20 (2001) pp 27−30

福岡県における煎茶園及び玉露園でのチャノナガサビダニの発生消長と防除法

松田和也・清水信孝1)・中村晋一郎・森山弘信・堺田輝貴
(八女分場)

[摘要]本県の弧状仕立て煎茶園と弧状仕立て及び自然仕立て玉露園におけるチャノナガサビダニAcaphylla theavagrans KADONO*の発生消長を調査し、効率的な防除法を検討した。チャノナガサビダニの発生は、いずれの茶園でも春期と秋期にピークが認められたが、弧状仕立てでは春期、自然仕立てでは秋期のピークが大きかった。チャノナガサビダニに対する防除効果の高い殺ダニ剤は、クロルフェナピルフロアブル、ピリダベンフロアブル、フェンプロキシメートフロアブル、ケルセン乳剤、ミルベメクチン乳剤であった。煎茶園では、チャノナガサビダニの発生が増加し始める一番茶の萌芽前に防除することで、一番茶芽生育期間中の寄生虫数を長期間抑制し、一、二番茶摘採芽及び一番茶摘採残葉の被害を防止した。

[キーワード:チャノナガサビダニ、煎茶園、玉露園、発生消長、化学的防除法]

*チャノナガサビダニは、従来南アジアから東南アジアに広く分布するAcaphylla theae(WATT)と同一種とされていたが、KADONO(1992)により別種のAcaphylla theavagrans KADONOとされた。

 Seasonal Occurrence and Control of Tea Rust Mite, Acaphylla theavagrans KADONO. MATSUDA Kazuya, Nobutaka SHIMIZU, Shinichiro NAKAMURA, Hironobu MORIYAMA, Teruki SAKAIDA (Fukuoka Agric. Res.Cent., Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent. 20: 27 - 30 (2001)

[Key words : Acaphylla theavagrans KADONO, tea field for sencha, tea field for gyokuro seasonal occurrence, chemical control]

1)現北筑前農業改良普及センター

 

全文  full text  (pdf 554KB)

 

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